【野球】ヤクルト・山田 完全復活に向けた思い明かす とにかく走る!故障にあえいだ昨季教訓に徹底して下半身強化
25年シーズンに並々ならぬ思いで臨む選手を取り上げるキャンプ企画「今季に懸ける」(随時掲載)。第1回は直近2年、成績不振にあえいだヤクルト・山田哲人内野手(32)を直撃した。下半身の故障で2度離脱した昨季の教訓を踏まえ、徹底した走り込みで肉体を強化中。ミスター・トリプルスリーが完全復活に向けた思いを明かした。
元気で健康な証拠だ。山田がキャンプで精力的に体を動かしている。軽快に走り、白球を追い、スイングも鋭い。朗らかで明るい表情、滑らかな口調が印象的だった。2月1日を万全な状態で迎え、上々のスタートを切った。
「心境ですか。やってやるぞと毎年、思ってます。今年もより一層、強いですね」
雪辱を期す思いは人一倍強い。昨季は110試合の出場で打率・226、14本塁打、1盗塁。23年は105試合で打率・231、14本塁打、4盗塁。トリプルスリーを3度も達成した球界屈指のアスリートが、極度のスランプにあえぎ、チームは2年連続5位と低迷した。
「昨年だけじゃなくて、ここ2年は期待も大きいですし、その分、苦しかったですね。もがいている感じです。ケガもしました。技術不足もあるなってすごく痛感している部分もあった。悔しい思いとか苦しい思いとか。いい思い出はあんまりないです」
昨季は開幕戦で下半身を故障した。開幕直後と5月に2度、下半身のコンディション不良で離脱。故障しない体づくりを模索した。昨年の故障前に重視したウエートトレーニングを見直した。
「機械を使ったり、下半身のメニューのウエートトレーニングをしてきた。結局、ケガをしてしまった。(要因は)何だとなった時に走り込みが必要じゃないかと自分で思った。ウエートトレーニングだけじゃなくて、ケガしないために走り込んでいるというのが一番の理由かもしれないです」
昨年6月から走り込みによる下半身の強化に着手した。試合前練習で球場の右翼~左翼ポールまで走ったり、10~20メートルの短い距離の場合もあった。黙々とダッシュや中距離走を繰り返した。オフも継続することを選択した。
「例年に比べたら意識して今日は走ろうという日もありました。(今までは)1月にならないと走らなかったですけど、(昨年の)12月、11月も走っていました。そこはずっと継続していこうと思って取り組んでました。ランニングマシンで回転数を上げて30秒間走って、休憩してまた30秒間走って、というのをやってました」
今季でプロ15年目を迎えるが、走り込みの量は今オフが最も多い。そう実感するほど下半身を鍛えたが、不安を完全に払拭できたわけではない。
「何回か(故障を)やっているんで怖さはまだ正直あるんです。試合に入っていく中で出力がもっと出ると思います。オフに入ってから試合はまだ一回も経験していない。正直何とも言えない」
ただ徹底した走り込みによって打撃や守備にも好影響を及ぼした。
「ケガしないために走っているんですけど、打撃とか守備にも影響してくるんじゃないかと。練習だけですけど、いいバランスで下半身を使えているなっていうのは今、感じています」
シーズンに入っても走り込みに重点を置き、継続していく。体の不安さえなくなれば、輝きを取り戻す可能性はグッと高まる。
「打った、走った、守ったとか活躍して、山田哲人がこのチームに必要だと思われるような試合が1試合でも多くなるようにしたい」
今季の具体的な数字の目標は掲げずに現実と向き合っている。ただ、どうしても獲得したいのが自身初のゴールデングラブ賞だ。
「守備で認められたいです。僕はバッティング(の選手)だと見られがち。山田の守備はすごいなと思われるようなプレーをしたい」
主将を務め、チームを引っ張る立場でもある。走攻守全てで躍動し、完全復活を果たしてヤクルトを3年ぶりのリーグ制覇に導く。(デイリースポーツ・伊藤玄門)




