【スポーツ】高梨沙羅 雪辱メダルのカギはテレマーク「飛んでなんぼ」から「飛距離削ってでも」 冬季五輪開幕まで1年

 ミラノ・コルティナ冬季五輪は、6日で開幕まで1年。ノルディックスキー・ジャンプ女子の2018年平昌五輪銅メダリストで、2大会ぶりのメダル獲得を目指す高梨沙羅(28)=クラレ=がこのほどデイリースポーツの取材に応じ、4度目の夢舞台で22年北京五輪のリベンジ、そして成長した姿を見せることを誓った。

  ◇  ◇

 -ミラノ・コルティナ冬季五輪の開幕まで残り1年になった。

 「『もうあと1年か』という気持ちだけど、今は目の前の課題をこなして、1年後の五輪にいい状態を作り上げていけたらと思っている」

 -五輪は17歳で初出場した14年ソチ。18年平昌、22年北京と経験を重ねて、今の心境は。

 「ソチは調子もよくて、とにかく楽しい気持ちだけで飛んでいた。メダルを取って、応援してくれる方々に見てもらえるように頑張りたいと臨んだのが平昌だった」

 -4度目の五輪の目標は。

 「次の五輪は前回とは同じ気持ちではいられない。北京五輪の失敗がある。そこから変わったパフォーマンスをしていかなきゃいけないし、変わった自分を見せられるジャンプが飛びたい」

 -課題にテレマーク(※1)を挙げていた。今季のルール変更で、より飛型点の採点に重要な要素になった。

 「安定的に、当たり前にしないといけない。(今は)飛距離を削ってテレマークを入れにいっている。できる人からすると難しくないのかもしれないけど、100キロ近い速度で飛んで着地は難しい。距離を飛べば飛ぶほど平らなところに落ちて難しくなる」

 -幼少期は飛距離に重きを置いて練習してきたのか。

 「距離を飛ぶ競技だと思っていた。やっぱり飛んでなんぼだとも思っていたし、小さいころはテレマークの練習を全くやっていなかった。それが今の唯一の後悔」

 -テレマークがメダル獲得のカギ。昔から磨いてきた飛距離を出す技術と、克服を目指しているテレマークをうまく合体させるのが、五輪1年前の今季の目標。

 「足を出すタイミングを考えなくても動くように。無意識レベルにもっていきたい」

 -課題を踏まえて、ここまでのW杯を戦ってみて収穫は。

 「今年は10位以内に入ることが難しい中で、4位だった中国のW杯は手応えを感じた。テレマークが入って、すごくいいジャンプだった。入ると、こんなに得点的に楽なんだと思った」

 -体重が減りやすいと以前に言っていた。工夫などは。

 「今季に入ってから異常に体重が減ってしまうのが悩み。体重の減少があると、体の体積が変わってきてしまうのでスーツにも影響が出る。変わらないようにしたい。原因を突き止めなきゃいけない。うまく調整して対策できるところはしていきたい」

 -今月末に世界選手権(ノルウェー)が開幕する。五輪前の大きな国際大会として試したいことは。

 「チャンスをつかむためにも、テレマークを決めていきたい。どうすれば安定して体重を保てるのか、体調や気持ちの持っていき方、テクニックも試したい。自分の今やっていることが形になったらいいな」

 ◆テレマーク ノルディックスキー・ジャンプにおける着地時の理想姿勢のこと。左右の板を前後にずらした状態で膝を曲げてショックを吸収し、上半身を起こしながら両手を広げて着地する。飛型点の大きな採点要素で、姿勢が取れなければ減点される。名称は、スキーが盛んなノルウェーのテレマーク地方に由来する。

 ◆高梨沙羅(たかなし・さら)1996年10月8日、北海道上川町出身。8歳でスキーを始め、11年コンチネンタルカップで史上最年少優勝を果たした。17歳で日体大に飛び入学。五輪は14年ソチで4位、18年平昌で銅メダルを獲得した。22年北京は個人戦で4位、団体戦は1回目のジャンプの後、スーツの規定違反と判定されて失格となり、チームは4位。W杯では男女通じて歴代最多の63勝と、女子歴代最多の116度の表彰台。クラレ所属。152センチ。

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