【サッカー】なぜ町田は補強に大成功したのか J1昇格1年目で3位大躍進の実績&A代表者から大人気
昨季3位の町田はJ1昇格2年目のシーズンを迎える。就任3年目の黒田剛監督(54)が目標として掲げたJ1初タイトル獲得に向けて、10人の選手が新たに加入した。横浜Mの日本代表FW西村拓真(28)や福岡で4年連続34試合以上出場のMF前寛之(29)、昨季リーグ2位のデュエル勝利数を記録した札幌のDF岡村大八(27)ら、他クラブで実績がある20代後半の選手の補強に成功。他国を含めたA代表経験者は10人となった。なぜ町田は実力者から人気なのか。その理由に迫る。
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昨季の主力はほとんどが残留。さらに20代後半の“脂が乗っている”中堅選手を5人獲得した。原靖フットボールダイレクター(FD)は、オフの補強を「85点くらい」と評価。満点にはしなかったが「24年を上回るスカッドを編成できた」「業界全体がセンターバック不足の中、ウチが全部獲得したといえるぐらい獲得できた。貸してほしいという問い合わせがあるくらい」といった言葉から、その充実ぶりがうかがえる。
補強が成功した要因は大きく2つ。1つ目は黒田監督就任後、わずか2年でJ2・15位→J1・3位と大躍進を遂げた実績だ。原FDは「クラブの文化が認知されて、非常に多くの選手に関心を持っていただけた」と交渉の裏側を明かす。実際に新加入の前は「昨年、本当にすばらしいサッカーをしていた印象がどうしてもあった」と、興味をひかれた様子。黒田監督も「町田のカラーやチーム作りを求めて、またはここにフィットすると、自分で感じて来てくれる選手たちが増えてきた」と、2年間の手応えを口にしていた。
2つ目は、A代表経験者が多い環境だ。昨季はシーズン途中に、現役日本代表のMF相馬勇紀、DF中山雄太が加入したほか、新人のDF望月ヘンリー海輝が初選出を果たし、代表戦士が一気に増加。代表を目指す中堅選手にとっては、高いレベルで切磋琢磨(せっさたくま)できる集団として魅力に映っていたようだ。原FDは「すでに実績があるけど、自分の価値をもう一つ上げようという選手を中心に、よく話ができた印象」と話す。実際に西村は「ハングリーな集団に行きたかった」と明かし、前も「現役代表選手、経験者がいる点は、移籍するに当たってすごく大きかった」と話す。実力者が実力者を呼ぶ、好循環を生み出している。
既存の選手にも好影響をもたらしている。96年度世代の中山は「多く入ってきてくれてうれしさがある。良い雰囲気」と、西村、岡村、DF菊池流帆といった同年代の新加入組を歓迎。中山と誕生日が9日違いの相馬は「僕の代が5人になった意味は、町田が強豪クラブとして居続けるメッセージと捉えている」と責任感が上がったようだ。
原FDは移籍市場が閉まる3月26日まで、補強調査の継続を明言。慢心はなく、初タイトルへ“本気モード”だ。黒田監督は「既存の選手とともに昨年以上の結果を出す」と宣言。新生町田が、昨年に続いて大旋風を巻き起こす。(デイリースポーツ・松田和城)




