【野球】なぜ広島・黒原は危険球退場翌日にベンチ入りしていたのか 新井監督の思惑とは

 3月30日の開幕2戦目に先発した広島・黒原拓未投手(24)が初回、DeNA・度会の頭部付近に死球を与え、わずか3球で危険球退場となった。実は翌31日の同戦で左腕はベンチ入りしていた。新井貴浩監督(47)の思いに迫った。

 3月31日・DeNA戦前。球場入りした新井監督は黒原について問われると「今日はブルペンに入れている」と話した。後日、改めてその意図を尋ねると「それまでに投手を使っていたから、延長戦とかイレギュラーのケースでと考えていた」と説明した。ただ、首脳陣から一方的にベンチ入りを告げたわけではなく、本人の心境を直接聞いた上での判断だった。

 「本人の気持ちが後ろ向きだったら使ってはダメだと思う。本人としゃべったら『早く投げたいです』と。本人の気持ちは折れていないと自分は受け取ったから『ベンチに入るぞ』と」。左腕の気持ちをくみ取り、30日の一戦で計6投手を使ったチーム事情も加味してブルペン待機となった。

 思い返すことがある。昨年7月26日のヤクルト戦。七回に登板した栗林が青木への頭部死球で危険球退場を宣告された。試合後はヤクルト側のロッカーへ赴いて謝罪。翌27日の同戦で登板した守護神は三者凡退でセーブを挙げた。その試合後、栗林は「自分もチームの一員ですし、監督の期待に応えたい気持ちも強かった」と振り返っている。

 イレギュラーな事態が起きた後、短いスパンで次回登板の機会を与える狙いとは-。新井監督は「やっぱり、こちらとしては早く次の登板を作ってあげたい。本人も一番モヤモヤしていることだから」と送り出す側としての考えを語った。勝利最優先を掲げる中で、選手の気持ちと正面から向き合って起用。そこに指揮官ならではのマネジメントがある。

 黒原自身も気持ちのスイッチを切り替える契機になった。「もちろん相手選手、相手チームに申し訳ないと思っています」と話した上で「次、早く投げて自分の中でモヤモヤしたものをなくしたいというのがあった。僕としてもベンチに入りたいと思っていましたし。実際、投げてないですけど、監督さんの計らいで入れてもらった。ベンチに入れて良かった」と実感を込めた。

 横浜スタジアムでの降板後、指揮官は左腕にこう話している。「お前のいいところは腕を振って向かっていくところ。そこは忘れずにやっていこうな」。黒原は7日・中日戦(マツダ)で仕切り直しの先発マウンドに向かう予定だ。(デイリースポーツ・向亮祐)

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