【野球】新基準バットで迎えるセンバツ 各校対応は?木製、状況判断、コンタクト率 指導者が挙げるそれぞれの理由

 選抜高校野球大会(18日開幕・甲子園)の組み合わせ抽選が8日、大阪市内で行われた。今大会から、反発係数を抑えた新基準バットが新たに導入される。会場に集まった主将や監督からはバットに対するさまざまな声が聞かれた。

 日本高野連が昨年3月に発表した新基準は、最大直径が従来より3ミリ短い64ミリで、厚みは打球部は3ミリから4ミリとなった。打球の初速は約3・6%低下し、飛距離も落ちるとされている。昨年11月に日本高野連加盟校へ配布されてから5カ月間、各校は順応するために練習や練習試合で使用してきた。

 対応するため木製バットで練習する例は複数のチームで挙げられた。豊川(愛知)は練習から木製バットを使用。大阪桐蔭(大阪)のラマル・ギービン・ラタナヤケ内野手も練習で木製バットを使ったという。広陵(広島)の中井哲之監督は、打者によっては木製バットを甲子園でも使う可能性を示唆した。

 ボールが飛ばないとされるバットだが「元々振る力がある打者なら、バットの変化はさほど関係ない」と分析する指導者は多い。明豊(大分)の川崎絢平監督もその一人だ。「振れる選手でないと安打の確率は上がらないのではと思う」と一定の“格差”が生じる可能性を指摘する。ただし、誰しもスイング力を上げるだけでは解決にならないという興味深い理論を明かした。「道具が変わったから道具をどう使うかより、頭を使うようにします」。つまり打撃の質を変えるのだという。

 明豊では、状況やバッテリー心理を突いた打ち方を選手たちに試行錯誤させた。「相手の配球で、こういう状況ならこういうボールが来る確率が高いんじゃないか。こういう所を狙った方がヒットになる確率が高くなるんじゃないか。今まで以上に考えさせるようにした。バットが飛ばなくなって(安打の)確率が下がる分、頭を使うことでその確率を補えるんじゃないか」。コースを読むことやバットコントロールで安打を増やすことに務めたという。

 「よく『バットが変わって、より多くシンに当てる練習をしていますか?』と聞かれますが、シンに当てる練習は前からしていて、練習内容が変わることはない。配球、状況判断、視野を広げる。あとはしっかりバットを振るということ。それは前から変わらずやっている」と、これまでの技術練習に加えて打席での判断力を磨いている。

 阿南光(徳島)の高橋徳監督は「(打球の)パターンがどうなっていくかは、どのチームも練習試合だけでは分からない部分がある」と慎重だ。それでも「うちの福田修盛(外野手)は先日の練習試合で、逆方向のフェンスまで飛ぶような打球を打った。シンに当たれば多分、打球は変わらない」とパワーヒッターが捉えた打球は飛距離が出ると感じている。強打者タイプではない選手の対策についても「フライが失速するなら低い打球を打つとか、今までの練習とあまり変わらない。いかに自分のタイミングと自分のポイントで、シンにコンタクトできるか」と打球の質を変えることを重視している。

 果たして、新基準バット初の公式戦で打球は飛ぶのか飛ばないのか。試合時間に変化は起きるのか。18日に熱戦の火ぶたが切られる。(デイリースポーツ・中野裕美子)

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