【野球】阪神・浜地が今季を「良いシーズンだった」と言ったわけ 4度の2軍降格に右肩痛…勝ちパターンから“脱落”も

 「良いシーズンだったなと思ってます」。11月24日に行われた契約更改後の会見で、阪神・浜地真澄投手(25)は2023年シーズンをこう振り返った。

 昨季は勝ちパターンとして52試合に登板するなど飛躍を果たしたが、今季は登板30試合で3勝1敗、6ホールド、防御率5・86と物足りない数字。4度の2軍降格など苦しんだ1年を「良いシーズン」だと言い切ったのは、なぜだろうか。

 「したくもない経験もしました」。今季中盤には苦しい心境も明かしていた。印象的な出来事がある。4月11日・巨人戦(東京ド)。1-3の八回から登板したが、中田翔、大城卓にいずれも2ランを浴びるなど1死しか奪えずKO。ベンチでは目に涙を浮かべた。

 「途中から記憶もなくて、訳も分からず投げてました。気付いたら中田さんにホームランを打たれていて…」

 この時点で開幕から5試合に登板して防御率14・54。試合後は「(要因は)分からないです。分かったつもりでしたけど、分かってなかったんだと思います」と声を絞り出した。

 翌12日に登録抹消。ただ、浜地の表情は前夜とは一転、笑顔だった。代わって昇格した岩貞と明るい表情で言葉を交わす場面もあった。

 数日後、鳴尾浜には変わらず笑顔の浜地の姿があった。悔しい登板後に取材せざるをえなかったことを謝罪すると、「自分の中でも整理したいので、言葉にしないとって思ってます。良い時も、悪い時も」と右腕。「あの日も対応しなきゃと思ったんですけど、何も出てこなくて…」と心境を振り返った。

 笑顔の理由を尋ねると、意外な言葉が返ってきた。「ほっとしちゃったんです」-。これまで救援に失敗して2軍降格を告げられる際は、当日中に言われることが多かったが、同戦後は翌日の球場入りまで首脳陣から話はなかった。「『ああ、また試合に入るのかな』と思っちゃって。だから、サダさん(岩貞)がいた時に、『あ、替われる』と。それを思っちゃいけないんだろうなとは思いつつ、楽になったというか…」。偽らざる思いを吐露した。

 その後も1軍と2軍を行き来した。今季最後の登板となった9月15日・広島戦(マツダ)では2回2失点で2軍再調整に。岡田監督が、浜地の右肩の状態が良くないことを初めて明かした。右腕は「言い訳になるので」と時期こそ明言しなかったが、シーズン中からコンディション不良に悩まされていたとみられる。夏場には右脚痛を抱えていた時期もあった。

 多くの苦悩があった2023年。「良いシーズン」だと話した理由を、浜地はこう語った。

 「『苦労は買ってでもしろ』って言うじゃないですか。今25歳ですけど、こんな苦しい経験もなかなかできないなと思ったので。そういう経験ができたというのは、今後に生きるのかなと思います。仮に引退して野球選手じゃなくなったとしても、この経験を20代でできたのはすごい良かった」

 苦しい経験を、そのように昇華させることができる右腕の考え方に驚いたが、最初は「そう思わざるを得なかった」と言う。

 昨オフから、進化を目指してフォーム改造に着手。ただ、「結果的に、客観的に見れば失敗だったと思う」と振り返る。2軍調整中には「去年のフォームに戻そうとかは考えていなくて、パワーアップして1軍に呼ばれるように。戻るという意識はゼロ」と繰り返し話していた浜地。だからこそ、結果を残していた昨季と対比しての助言を、素直に受け入れられないこともあった。

 「ふさぎこんでいて、差し出された手に気付いてなかったです。みんな僕が少しでも良くなるように言ってくれていたんですけど。でも、前を向いた時に、差し出された手に気付けました」

 再び顔を上げて歩み始めた浜地。今オフは鳴尾浜や病院へ通い、地道にリハビリを完了させた。来季はプロ8年目。「層の厚い中継ぎ陣ですし、まずはそこに割って入るところから始めないといけない。来年は1年間ずっと1軍で投げたい」。復活…いや、これまで以上にパワーアップした浜地がブルペン陣に加われば、球団初のリーグ連覇を目指すチームにとって大きな戦力となるはずだ。(デイリースポーツ・間宮涼)

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