【野球】現役ドラフト“巧者”は阪神、巨人か 高まる注目と需要 加速する移籍の多様化

 2023年の現役ドラフトが、今月8日に実施された。昨年に続き2回目で時間にして約40分。今季、阪神の大竹耕太郎投手や、中日の細川成也外野手が新天地で飛躍したことから、野球ファンを中心に注目度が一気に上がった印象だ。

 各球団の獲得選手一覧は以下の通り。()は前所属。

 阪神 漆原大晟(オリックス)

 広島 内間拓馬(楽天)

 DeNA 佐々木千隼(ロッテ)

 巨人 馬場皐輔(阪神)

 ヤクルト 北村拓己(巨人)

 中日 梅野雄吾(ヤクルト)

 オリックス 鈴木博志(中日)

 ロッテ 愛斗(西武)

 ソフトバンク 長谷川威展(日本ハム)

 楽天 桜井周斗(DeNA)

 西武 中村祐太(広島)

 日本ハム 水谷瞬(ソフトバンク)

 ドラフト“巧者”は巨人、阪神だったか。ルールを振り返ると、「対象選手の獲得を希望する球団数(1球団に所属する複数の対象選手が他球団から獲得を希望された場合は、(延べ球団数)が多かった順番に従って決定する、次に選手を指名された球団が選手を指名する」などとある。

 球界関係者らの話で振り返ると、最初に指名権を得たのは巨人。北村拓を含む、指名リストに掲出した選手に人気が集まったようで、1軍での登板実績も十分で、補強ポイントのリリーフである阪神・馬場を獲得できた。また、阪神の岡田監督は「指名順位?早い、早い、それは。馬場やったらすぐに上の方で、最初にいくんちゃうかなと思った」と明かし、2番手で最も評価していた漆原を獲得した。

 指名した選手を出した球団に指名順が移るため、以降、オリックス→中日→ヤクルトの順で指名された。ヤクルトの指名が北村拓だったことで、6番目の指名は残り7球団のうち暫定指名順位最上位に移ったと見られる。

 結果的に当該選手が新天地で活躍できるか、それは現時点では分からない。ただ、自チームの戦力をしっかりと把握し、12球団の提出リストの中から、最上位に評価をした選手を獲得できたという点で、現役ドラフトでの補強は成功したと言える。特に阪神は前年、ソフトバンクから大竹を獲得。先発として12勝を挙げるなどリーグ優勝、日本一に大きく貢献した実績もある。“アレンパ”の使者として期待される。

 馬場に加えて、中日からオリックスに移籍した鈴木、ロッテからDeNAに移籍した佐々木千と、ドラフト1位入団の3人が対象になった。昨年の第1回から、現役ドラフト導入を求めてきた日本プロ野球選手会の森事務局長は「普通だとドラフト1位で入った選手は長く、入った球団にいる、というのはある。環境を変えてあげられれば…という(球団の)気持ちが出ているのかなと思う」と、制度導入の趣旨に沿った移籍を歓迎した。

 その上で、来年以降に向けて「制度としていい方向にいっていると思う。いい選手を取るためには、いい選手を出さないといけない。他球団にとって魅力的ではない選手をリストで出せば、結果的に上位で取れない」とし、「このまま根付いてくれたらいい。ただ、根本的には球団側が選ぶのではなく(出場試合数や年齢などの条件で)自動的にリストアップされてほしいですね」と希望も語った。

 導入前には懐疑的な声もあったが、大竹に加え、DeNAから中日に移籍した細川らの成功例が、各球団の意識を変え、ファンの注目度も上げた。野球人気の低下、競技人口の減少が叫ばれて久しい。来シーズンから導入される2軍リーグの拡大もそうだが、球界全体で野球の魅力向上、裾野拡大に取り組んでいるのは確かだ。多様化の時代に於いて、移籍の多様化が大きな可能性を秘めそうだ。(デイリースポーツ・田中政行)

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