【野球】首位と最下位の現在地を表した一戦 抜け目ない走塁で勝った阪神 走塁ミスで小笠原を見殺しにした中日 勝敗を分けたポイントとは

 首位の阪神・岡田監督(左)、最下位の中日・立浪監督(6日)
 1回、森下の先制適時打で生還する小野寺(撮影・中田匡峻)
 6回、細川が四球になった際の投球が一塁側ベンチ前付近に転がり、一走・岡林(右)は三塁を狙うもアウトになる。三塁手は佐藤輝(撮影・中田匡峻)
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 「中日ドラゴンズ0-1阪神タイガース」(6日、バンテリンドーム)

 首位と最下位の現在地を表す一戦になっただろうか。6日の中日-阪神戦は1点を争う試合展開になったが、一瞬の判断が勝敗を分ける結果になった。

 阪神は初回、プロ初の1番に抜てきされた小野寺が中前打。中野が送った1死二塁から、森下が対戦打率・800の好相性を誇る東海大相模の先輩・小笠原から左前打。左翼・大島が打球をグラブに収めた瞬間、小野寺はまだ三塁を回っていなかった。それでも、藤本三塁コーチは低い体勢で三塁に向かってくる小野寺の動きを視界に捉えつつ、大島が捕球したタイミング、捕球体勢、あらかじめ頭に入っている大島の肩を瞬時に判断し、腕をグルグルと回した。

 次打者は4番の大山。小笠原との対戦打率は8打数5安打の打率・625と、こちらも好相性だった。捕球したタイミングを含めて、無理に本塁に突っ込ませる必要はないのではと思った。だが、全速力で三塁を蹴った小野寺は失速することなく本塁にヘッドスライディング。左手でホームベースに触れ、貴重な先制点をもぎ取った。藤本コーチの見事な判断だった。

 藤本コーチは「勇気を持って回せたというか、小野寺のスタートが良かったからだよ」と話し、結果的に決勝点となった小野寺は「大事な1点になって良かったです。近本さんが抜けるのはチームとしては痛いと思うんですけど、カバーできるように少しでも力になれて良かったです」と代役1番の重責を果たせたことを喜んだ。

 1点を追いかけた中日は四回1死一塁から、石川昂が左中間にライナー性の打球を運んだ。処理に動いたのは中堅・小野寺ではなく、左翼・ノイジー。二塁に送球するにしても、三塁に送球するにしても反転する必要がある捕球体勢だった。だが、一塁走者の細川は二塁を回ったところで止まってしまった。

 それでも一、二塁に好機は広がった。次打者・カリステは右翼後方への飛球を放った。だが、細川は越えると思ったのだろうか、ハーフウエーで打球を見つめており、捕球寸前に二塁に戻ったため、三塁にタッチアップすることができず、一塁ベンチの立浪監督は呆然と立ち尽くしていた。もし、石川昂の安打で三塁に進んでいれば、タッチアップで同点に追いつけていた場面でもあり、スタンドからはため息が漏れた。

 六回無死一塁では、細川がフルカウントから四球を選んだ投球がワンバウンドとなって、坂本が捕球できずに一塁ベンチ方向にそれた。これを見て一塁走者の岡林は迷わず二塁を蹴り、一気に三塁を狙ったがタッチアウト。立浪監督はすかさずリクエストを要求したが、判定は変わらず。スタンドのため息はさらに大きくなり、結果として7回1失点と粘った小笠原を見殺しにした。

 野球というスポーツは、豪快な本塁打に歓声を上げ、160キロ近い剛速球を投げる投手に沸くこともあれば、コンマ数秒を争うスピードに心を奪われることもある。

 阪神・岡田監督は「バント失敗はするし、走塁ミスやるし。こんなゲームになるわな」と投手陣が1点を守り抜いた5連勝にもご機嫌ななめだった。1点を先制した直後の1死二塁から、大山の中前打で二塁に戻りかけ、三塁でストップした森下の判断ミスがあった。遊撃・カリステの守備位置をしっかり確認できていれば、迷いなくスタートできた一打。その後、佐藤輝の四球を挟んでノイジーと坂本が凡打に終わって1点どまりだっただけに、今後に向けて苦言を呈した形だ。

 最下位に沈む中日はこれまで何度も細川の打棒に助けられた試合があっただろうが、得点力不足に泣いて敗れる試合も多かっただけに、泣くに泣けない判断ミスとなった。岡林の走塁に関しては積極性と見るむきもあるだろうが、結果としてアウトになってしまったのだから、積極的な走塁で済ませてはいけないように思う。もちろん、隙あらば先の塁を狙う姿勢は評価されていいのだが。

 打って点が取れないのであれば、どうやって点を取るのか。犠打、盗塁、犠飛、チームバッティング…。手段は無数に存在するが、1点に笑い、1点に泣いた両チームのコントラスト。一瞬の判断が明暗を分けた一戦になった。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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