【野球】岡田阪神が強い?他球団が弱い?首位快走の要因を評論家は「バランス」「他球団の苦手意識」と指摘

 阪神が40試合を終え、25勝14敗1分けの貯金「11」で首位を快走している。エース・青柳が不振、守護神の湯浅、勝ちパターンで投げていた石井が故障で離脱してもチームの勢いに陰りが見えることはない。

 阪神が強いのか?それとも他球団が弱いのか-。現状のセ・リーグを阪神、広島、オリックスで指導者を歴任してきたデイリースポーツ評論家・岡義朗氏はこう分析する。

 「まずタイガースは安定している。非常にチームのバランスがいい。クール、クールによって代わる代わる好調な選手が出てきて、全員が一気に落ち込むということがない。そして岡田監督が守備を重視して、選手をコンバートして固定してというやり方がうまく行ってる」

 阪神は開幕直後に8番の木浪が打線を引っ張り、好調な1番・近本、2番・中野で得点するパターンが生まれた。打線全体の調子が上がってこない中、犠飛や四球をもぎ取りながらゲームを拾っていくと、5月に入ってノイジー、大山、佐藤輝のクリーンアップが状態を上げてきた。中軸の上昇気流に乗っていくように5月11日から7連勝を飾り、一気に貯金を大台の「10」に乗せた。

 岡田監督がレギュラーを固定して我慢強く起用してきたことで、うまく調子の波が分散。岡氏は「巨人やヤクルトは全員が悪くなって一気に落ち込んでしまったでしょ。もちろん阪神の選手たちのレベルアップもあるし、層の厚さもある。青柳がダメでも村上、大竹が出てきたり」と分析しつつ、安定した戦いを進めている要因として「選手に役割を与えたことで責任感が出てきている」と指摘する。

 岡田監督はレギュラーの固定だけでなく、代走、代打、守備とベンチの選手にも役割を与えてきた。代走なら植田、代打なら原口、糸原など働き場所を用意してきた。競争ではなく、ベンチが決めた選手を使う。レギュラーも含め、個人、個人で役割を与えられている形となり「選手個人がダメならチームに迷惑をかけてしまうという意識に変わってきていると思う。監督が『ダメなら』とプレッシャーをかけるのではなく、個人、個人で感じるようになってきたんじゃないかな。ここで何とかしないといけないとか、ダメならファームとか。シンプルに分かりやすくなっていると思う。選手がチームのためにという意識の下でプレーしていると思う」と評する。

 投手陣でも先発、リリーフをうまく回しながら登板過多を避けつつ戦っている。序盤で目いっぱい戦うのではなく、勝負の8月、9月に向けてチーム力を温存しながらゲームを進めている。うまく投打のバランスが取れた中で40試合を戦ってきた中、岡氏が指摘した阪神好調のもう一つの要因は「相手がイヤがっている」という部分だ。

 「リリーフが豊富なことで相手からすれば六回までにリードしていなきゃいけない。1、2番に足があることで単打でも走られれば得点圏に行かれてしまう。下位打線も木浪がいることで気が抜けない。守備が安定していることでミスも期待できないとかね。相手から見れば、すごく戦いづらい要素がある」

 ここまで他5球団に負け越しはなし。ヤクルトと4勝4敗1分けでタイとなっている以外は、4球団に勝ち越している。

 2位・DeNAには6勝2敗となっており「野手に限れば、純粋な個々の能力というのはDeNAの方があると思っている。実際にチーム打率も阪神より上。でも『相手は投手がいい』と意識を持っていることが、ここまでの戦い方にも現れている」と岡氏。12日の阪神-DeNA戦では、まだ序盤の二回で1点リードにもかかわらず、2死二塁から8番・木浪を敬遠して投手の青柳と勝負を選択。これが裏目に出て今永がタイムリーを浴び、一挙4点を失う場面もあった。

 岡田監督は21日の広島戦後、「まず区切りの交流戦までということで、最後、この1週間、みんなピッチャーもバッターもね、最後いい形で交流戦を迎えたいですね」と語っていた。23日からは神宮に乗り込んでヤクルト3連戦、週末は本拠地で調子を上げてきた巨人を迎え撃つ。セの他球団に嫌なイメージを残したまま、交流戦に突入することができるか-。リーグ戦再開後にも関わる重要な一週間となりそうだ。(デイリースポーツ・重松健三)

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