【野球】阪神・近本“スロースターター”返上のワケ 過去2年の春先は2割台→今季は打率・333の要因とは

 阪神・近本光司外野手(28)が4月を終えて、打率・333など打撃部門で高水準の数字を維持している。近年“スロースターター”のイメージが定着していた背番号5が、なぜ今季は“スタートダッシュ”に至ったのか。阪神担当の山本直弘記者が近本の思考からその理由を探る。チームは2日から中日3連戦(甲子園)。近本のバットが5月攻勢もけん引する。

 例年とは明らかに異なる感覚に包まれているという。「今まで125~150打席くらいで『イメージ通り打てた。イメージ通りのアウトが出た』という感覚になってヒットも出てくるんですが、その感覚が今から出ている」と近本は語る。

 開幕から1カ月を終えて、打率・333。3、4月の打率に目を向けると、22年は同・231、21年は同・222と春先は数字が上がらない。季節が巡るにつれて打率が上昇していくことから“スロースターター”のイメージが定着していたが、今季はその印象を覆す出足を見せている。

 近本にとって「調子のバロメーター」の一つになるのが「イメージ通りの感覚で打球を体現できている」こと。通常なら5月以降に得られるその感覚が、今季は100打席に満たないうちから前倒しで感じられている。

 要因の一つとして挙げたのが「ボール球を振らない」ということ。「ボール球」の定義とは「自分がボールだと思ったらボールでいい」。判定に左右され「ボール球」まで打ちにいくと打撃を崩す一因となる。「その先の10、20打席の調子が狂うのなら、見逃し三振で1打席アウトになろうが仕方ない」。「ボール球」を徹底して捨てることで「打てるボールがどんどん甘いボールに変わってきた。だから勝手にヒットになる」と明かした。

 打点14はリーグトップタイ、得点圏打率・600はリーグ2位とチャンスでの強さも際立っているが「ランナーがいてもいなくても一緒」と、好機が自身の打撃に及ぼす因果関係は否定した。ただ、狙い球は絞りやすくなるという。後は球種やコースに対して「イメージ通りの打球」が体現できるか。その結果が打点などの数字となっているに過ぎない。

 その独特の「感覚」が前倒しとなったことで、シーズン終盤の状態は近本にとっても未知の領域となる。それが今の「楽しみ」だとも言う。「今シーズンの(打撃の)方向性をどこまでキープできるのか」。相手も対策を講じてくる。「そうなった時にも(今の感覚が)変わらないのか、より良いものになってくるのか」。打撃の探求者は数字が上下しようとも「全て自分の糧になる」と笑った。結果だけに左右されず、その思考に寄り添いながら今季の近本を見守りたい。(デイリースポーツ阪神担当・山本直弘)

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