【野球】花巻東初の東大生・大巻将人外野手 高校時代の目標達成シートは野球と別に勉強も 真ん中には『東大合格』

 3月に入り、大学・社会人はシーズン開幕に向けてオープン戦が始まっている。東京六大学野球リーグの東大も97年秋以来の最下位脱出と17年秋以来の勝ち点獲得を目指し、日々汗を流している。

 そんな中、異色の経歴を持つ大巻将人外野手(2年)に注目したい。高校は米大リーグで活躍するエンゼルスの大谷翔平投手やブルージェイズの菊池雄星投手らを輩出した花巻東の野球部出身。2年間の浪人期間を経て同校初の東大合格を勝ち取った。新3年生で、上級生となる今季は自身初のベンチ入りを目指す。

 高校入学当初は思いもしなかった進路になった。「甲子園に行きたくて」と地元岩手の強豪・花巻東に入学。当時は一般生徒と同じクラスで勉強しており、「(勉強は)できる方だったけど、ずばぬけてではなかった」という。甲子園を目指して日々汗を流す中、高校1年の1月に当時東大野球部の監督だった浜田一志氏と会う機会があり、「アドバイスや東大野球部の紹介を受けて魅力を感じた」。そこから大きな挑戦が始まった。

 野球ファンなら誰もが知る全国屈指の強豪校で、勉強と部活の両立は大変。練習時間は、平日は16時~21時、休日は朝から18時ごろまでと、「部活の時間も結構長いし、その中で勉強時間を確保するのは難しかった」と振り返る。

 そんな中で、大事にしていたのがスキマ時間の活用だ。「空いている時間をどれだけうまく使えるかだと思ったので、平日も土日も1日部活動でつぶれてしまうと言うことを考えると、授業の合間の時間とか、寮に帰ってきてから寝るまでのちょっとした時間とかで、ちょっとずつ補って、という工夫はしていました」。練習後の寮での勉強時間は1時間弱と、スキマ時間の勉強と合わせても1日2時間程度だったが、こつこつと努力を続けた。

 花巻東と言えば、9×9マスの目標達成シートが有名だが、大巻は野球とは別に勉強でも実施。「基本的にみんな野球だけで、僕はプラスで勉強もやった方が良いなと思って。東大を目指すようになってから二つ始めました」。勉強の目標達成シートの真ん中に書き込んだのは『東大合格』。3年夏の引退まで野球と勉強の両立をやり遂げた。

 本人の努力はもちろん、浪人期間も佐々木洋監督からたびたび連絡をもらうなど支えもあって、見事目標を達成。「佐々木監督は(人間性について)結構言ってくださる方だったので、取り組む姿勢とか考え方を教わった。目標の立て方とかも勉強に生きたのかなと。2年間浪人したけど、最後は自分の行きたいところにいけたので、それはそういう取り組み方とかを教えてくれた高校のおかげかなと思います」

 昨季は春秋ともに新人戦に出場し、東大野球部のユニホームを着て、神宮球場に立った。次に目指すのはリーグ戦でのベンチ入りだ。「神宮でプレーするというのは一つの目指しているところというか、自分のやりたいことだった。まだリーグ戦は出場がないけど、春秋とフレッシュリーグに出させてもらって、野球をやる喜びとかを感じているので、今充実した日々を送っています。まだリーグ戦でベンチ入りをしたことないので、来年はベンチ入りを目標にやっていきたい」。力強いまなざしには、目標達成までの道筋が見えているように感じた。(デイリースポーツ・森本夏未)

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