【野球】史上2番目の大幅減俸の楽天・田中将 出来高払いのノルマクリアでどこまで損失補填できるのか

 大幅減俸された楽天・田中将大(34)は、出来高払いのノルマクリアでどこまで損失補塡(ほてん)できるだろうか。

 田中将は7日の契約更改交渉で昨季の球界最高年俸9億円から約半減となる4億7500円プラス出来高払いの単年契約でサインした。これは2016年当時、巨人で投げていた杉内俊哉(現巨人3軍投手コーチ)=(42)=の5億円ダウンに次ぐ史上2番目の大減俸となる。

 楽天に復帰した21年は4勝9敗、防御率3・01、昨季は9勝12敗、防御率3・31と群を抜いた成績は残していない。だが、いずれの年の規定投球回を上回るイニングを投げて、俗に言う試合を作る働きをしている。田中将本人は「球団やファンの期待を裏切ってしまった。ふがいない2年だった。また契約していただいただけで大変ありがたい気持ち」と感謝の言葉を口にしたが、そこまでの不振ではないと思う。

 球界No.1の高給取りの立場からすれば大幅ダウンを仕方がないかもしれない。しかし、実際は契約内容に出来高払いの条項があり、この額がいくらにになるのか、気になるところだ。MLBの出来高払い、すなわちインセンティブ契約は想像以上に高額でしかも範囲が広い。勝ち星や防御率はもちろんのこと投球回数や奪三振数などだけではない。例えば左腕アレックス・ウッド(31)が21年にジャイアンツと単年契約を結んだ際の基本は300万ドル(約4億200万円)だったが、出来高払いも同額の300万ドルだった。その中には10アウト以上取った試合数に応じて相応の金額が支払われる条項もあったという。また、現在、ツインズに在籍する前田健太(34)がポスティングシステムを利用してドジャースと契約した際、基本契約は8年契約の総額2500万ドル(約33億5000万円)プラス出来高払いだった。単年ではわずか312万5000ドル(約4億1875万円)とダルビッシュ有(36)や田中将の渡米時の契約と比べて安価だったが、このときの出来高払いは最大で1000万ドル(約13億4000万円)から1200万ドル(約16億800万円)だったとされている。この年の前田は32試合に登板して16勝11敗、防御率3・48と大活躍したため、満額とはいかなかったものの10億円に達する出来高を手にしているし、それ以降のシーズンも条件をクリアし高額の出来高払いを獲得している。

 ヤンキースに8年間在籍した田中将だけに、メジャー流に出来高払い契約に関しては熟知しているのは間違いない。詳細は明らかになっていないが、条件をすべてクリアすれば減額分を穴埋めできる金額になっていてもおかしくはない。

 高額な出来高払いは球団にとってもメリットがある。プロ野球選手の契約更改は前年度の年俸が基本だ。その金額に照らし合わせ、その年の活躍と翌年の期待値によって次の年の金額が決まる。通常、出来高払いを含めた金額からのアップはない。今季、田中将が渡米前のような無双の活躍をし、球団側が満額の出来高を支払ったとしても、オフに翌年の契約更改交渉をする際のベースは今季の4億7500万円となるからだ。国内外で物議を醸している今回の田中将の契約更改。だが、今オフに一体いくらの出来高を手にし、総額にいくらになるのか、人の懐ながら気になるところだ。(金額はすべて推定)=(デイリースポーツ・今野良彦)

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