【野球】育成契約を直訴したオリ富山の真意は?「球団が悪い風に見られがち」「復帰すれば手加減しません」

 黒のスーツにえんじ色のネクタイを締め、富山は堂々と契約更改後に会見場へ登場した。来季は育成選手として再出発を図り、年俸も今季の4200万円から減額制限いっぱいとなる1050万円減の3150万円でサイン(金額は推定)。それでも、表情は晴れやかだった。

 昨季は51試合に登板し、25年ぶりのリーグ優勝に貢献。しかし、今季は8試合の登板に終わり、日本一の輪に加わることはできなかった。10月17日に戦力外通告を受け、同20日にトミー・ジョン手術を敢行。左肘の痛みと今季は戦っていた。

 左肘の痛みは中学、高校からあった。それでも、投げることはできていた。ただ、今年はブルペンで腕がしびれ、手に力が入らないほどに悪化。「そこで無理だと思って、手術を決めました」と決断理由を明かした。

 それでも、悲観する様子はない。力強い言葉を並べ、明るい未来を予感させた。さらに、会見で記者からの質問が終わると「僕からの話なんですけど」と自ら切り出した。

 「ネットとかで、僕と椋木に球団から育成契約を打診してると書かれていた。球団が悪い風に見られがちというか、そういうのはあまり納得してなくて。僕と椋木が手術する際に、球団が面倒を見るために、ゆっくりリハビリしてくれという形で、育成にしてもらってる。『なんでオリックスは怪我したら、すぐに育成にするんだ』とか。そういう声が多かったので」

 富山は球団に感謝している。今回の育成契約についても、球団と話し合い、納得した結果だ。当然、手術に踏み切る前には球団へ伝える。そこで、復帰のプランを話し合った。

 「僕の場合は手術して、リハビリが1年間あります。次の年に復帰しても成績が出るかわかりません。その次の年まで面倒を見てもらえますかという話を僕からした。支配下のままだと復帰を急いでしまう。急がないためにも、球団から育成にしようという提案だった」

 富山が育成になることで、支配下の枠も一つ空く。今季で言えば、近藤や宇田川など育成から支配下に上がった選手たちが活躍した。

 「支配下枠が増えて、俺が支配下になるんだって子が増えてくると思う。そうなったら、また戦力が上がってくるので、それはいい方向に走ってるんじゃないかなと思います」

 もちろん、富山の闘志は消えていない。チームの日本一は「良かったんじゃないですかね。去年、活躍していない選手がいっぱい活躍して、途中から支配下になった選手も活躍して。戦力はめちゃくちゃ上がっている」と冷静に分析した。

 しかし、この後の言葉に熱い思いが込められていた。「僕も新しい肘になって、どんだけの球を投げられるかわからない。ですけど、それを試す。今、野球ができてる人たちには、思う存分野球をしていてくださいという感じですかね。復帰すれば、手加減しませんよという感じです」。背番号「128」からの再出発。再び2桁の背番号をつかんだ時には、必ず大きくなって帰ってくる。(デイリースポーツ・今西大翔)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス