【野球】広島の新井監督は「胃から汗が出る」練習で、赤ヘル軍団復活させるのか
広島の新井貴浩新監督(45)は伝統の「胃から汗が出る」練習で、強い赤ヘル軍団復活させるのか。
広島はリーグ3連覇後、4年連続のBクラスに低迷している。そんな赤ヘル軍団の復活を託された新井新監督は12日の就任会見で「(ファンの)皆さんの気持ちを真っ赤に燃えさせるように頑張っていきたい」と抱負を口にした。
確かに今季、ポスティング・システムで不動の4番打者だった鈴木誠也(28)がMLB・カブスに移籍した穴は大きかった。だが、それを嘆いても仕方がない。
今季途中に、前レッズの秋山翔吾(34)を獲得したが、広島は元来補強に関してはFAにはあまり興味を示さず独自路線を貫いている。戦力アップを図るためには、若手を徹底的に鍛え上げるのが基本姿勢だ。
私は過去、プロ野球チームを広島、阪神、日本ハム、ヤクルト、横浜(現DeNA)、巨人、西武の7球団担当し取材してきた。その中で感じ取ったのが広島の練習量の多さだ。
山本浩二氏(75)が広島の監督に就任した、1989年のキャンプ初日の話だ。通常、ベテラン組や若手組に分かれてキャンプがスタートする。その日までに各選手は自主トレをこなし体作りをしてくるが、初日から全力でのプレーを求めるチームは多くない。だが、このときは朝9時からベテラン組、若手組の区別なく練習がスタート。午前中の約3時間はひたすらランニングが課せられた。あまりのランニング量に、当時ベテランの域に達していた達川光男氏(67)が嘔吐(おうと)しそうになり「胃から汗が出た」という“迷言”を残したほどだ。
さらに、午後から選手には他球団並みのメニューが用意され、終了時間は午後6時過ぎだったと思う。夕食後、若手は指名で夜間練習が行われ、再び球場内の室内練習場での打ち込みが課せられた。また、ベテラン組の野手は室内で素振り、投手陣にはフォーム固めに意味もあり室内でタオルを使ったシャドーピッチングが義務化されていた。
だが、過酷ともいえる練習量は山本浩二氏就任前も同じだ。連続試合安打の日本記録を持つ高橋慶彦氏(65)などはシーズン中でも好不調にかかわらず、時間をみつけては集合の3時間前には広島市民球場入り。約2キロのマスコットバットを手に1時間以上もフリー打撃で汗を流し試合に臨んだほどだ。
鉄人と呼ばれた故衣笠祥雄氏も若手時代は、オフになっても素振りを欠かさなかったという。お酒を飲んだ後、それは変わらず、摂取したアルコールがすべて汗となったかのように、部屋の畳が水浸しになったというエピソードを本人から聞いた。
新井新監督もそのカープの伝統を引き次ぎ、名球会に名を連ねる選手に成長した。「練習は噓をつかない」という言葉を実体験しており、選手を鍛え抜くのは間違いない。12球団一若い監督の下、赤ヘル軍団復活に向けて今後「胃から汗を出る」選手がどれだけ出現するか、楽しみだ。(デイリースポーツ・今野良彦)



