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【リング】亀田和毅が新天地で変貌 新トレーナーとの化学反応で攻防一体のスタイルに

 ボクシングの元世界2階級制覇王者で、WBA世界スーパーバンタム級2位の亀田和毅(31)=TRYBOX平成西山=が7月30日、神戸市内で同ジムへの移籍後初戦に勝利した。2012年ロンドン五輪代表で、プロでも地域王座を獲得してきたウイリアム・エンカーナシオン(34)=ドミニカ共和国=から3度のダウンを奪う4回KO勝ち。戦績を42戦39勝(21KO)3敗とした。

 同ジムの西山一志会長は戦前、主戦場のスーパーバンタムから1階級上げたフェザー級で、しかもパンチのある相手をあえて選んだと明かしていた。世界再挑戦を目指す移籍初戦として、リスク承知のマッチメークだった。しかし、実際には相手にほとんど手を出させないまま、和毅は圧勝。これまでのヒットアンドアウェー中心から、左ボディーで何度も相手をもん絶させるなど、攻防一体の力強さを増したスタイルへと変貌していた。

 試合を振り返った和毅は「新しいトレーナーとはまだ3カ月だが、セコンドの声を聞きながら試合ができたのもよかった」と話した。4月から指導を受ける元世界ランカーの武本在樹トレーナー(43)との新コンビに手応えを感じたようだった。

 武本さんは、千里馬神戸ジムから2007年にWBA世界フェザー級王者、クリス・ジョン(インドネシア)に挑戦し、9回TKO負け。血染めの激闘に気持ちの強さを感じる選手だった。当時、同門の後輩だったのが、後に3階級制覇王者となる長谷川穂積さん(41)。今回、和毅と武本さんを引き合わせたのも、双方と親交がある長谷川さんだ。

 武本さんは「喫茶店で話をして、すぐにこの選手は伸びしろしかないと思った。持っている引き出しは少ない。少ないと言うか、知らないだけだと思った」と初対面の印象を振り返る。15歳からメキシコに渡って培ったボクシングセンスに、さらに「引き出しがあれば、頭を使いながらボクシングをできる」と、31歳に眠る潜在能力に着目した。

 長谷川さんは、「在樹さんは教える天才。僕自身、若い頃にたくさんのことを教わった」と2人を引き合わせたきっかけを振り返った。武本さんの指導は「打つ前のポジションや打った後のポジション、パンチを出すタイミング、頭の位置、超接近戦でのクリンチのいなし方。すべてに置いて防御と攻撃がミックスされた打ち方を教えてくれる」と言う。

 力強さが増したこの日の和毅を、記者は主戦場のスーパーバンタムから1階級上げたことによるものだろうと考えていた。減量苦が少なかったと本人も話していたが、それだけではなかった。

 左から組み立てる基本のボクシングに織り交ぜた小さなフェイントからの右、相手の動きを見た上でのステップワーク。相手が無策に見えたのは、自らの動きで敵の攻撃を封じたものだった。その上で、最も有効に自分の攻撃を出せるポジションを維持する。それが実践できたのは、セコンドとの連携が大きかったのだろう。

 武本さんは「僕の言うことを聞きながら、頭を使って耳を使ってできていた。1回目も2回目もダウンを取って僕を見た。取っても取られても、必ずこっちを見るように言っていた。普通はアドレナリンが出てセコンドの声を聞いていないものだが、しっかり聞いていた」と話していた。実績のある元王者にこれだけ率直に指示することも、それを選手が受け入れることも、簡単なことではない。

 ボクシングは、チーム競技でもある。戦略を担うセコンドとの信頼関係がなければ極限状態で戦えない。試合後、「今日は60点」と辛口採点した武本さんから「帰ってすぐ練習するぞ」と言われた和毅はうれしそうに笑っていた。「最後は日本のみんなの前で王者になりたい」と、新天地を求めた元2階級王者。新トレーナーとの化学反応を感じながら、王座返り咲きを視野に入れている。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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