【野球】来春センバツに望みをつなぐ東洋大姫路 挫折乗り越えチーム支える森マネジャー

 今秋の近畿大会で8強入りし、来春センバツ出場に望みをつないでいる東洋大姫路。11年ぶりの聖地に向けて冬の鍛錬を積み重ねる選手の傍らで、暖を取れるようにと、半袖でまきをくべる球児がいた。

 今夏から同校野球部を裏方で支える森皐至マネジャー(2年)。元々は野球留学で岡山県から寮に入り、投手、内野手としてプレーしていた選手だった。ただ、自身と同様に全国から選手が集まる中、限られた人数しか背番号をもらうことができない高校野球の世界。なかなか結果を出せずにいた自分に「もう、厳しいかな」と区切りを付け、縁の下の力持ちになる決意をした。

 簡単な決断ではなかった。投手から一塁手に転向後、結果を出せずにいた今年の春先。「マネジャー転向は考えていたけど、なかなか人に言えなくて。親にも言えなかった」と約2カ月間悩み続けた。腹を決めた末に、「これで結果が出なかったらマネージャーに転向しよう」と6月中旬の練習試合に臨んだ。「6番・一塁」でスタメン出場。しかし、安打を放つことはできずに途中交代で出番は終了。結果を受け入れ、その日のうちに両親に電話でマネジャー転向を伝えた。

 「マネジャーになろうと思う」と切り出した皐至。父には「まだそんなに気が早まらなくても…」と諭され、母には「本気でやるなら応援したい」と涙を流しながら背中を押された。引き留める父の言葉もあったが、「人間的にも成長できる」と意志は固く、マネジャーに転向。今では、チームになくてはならない存在となった。

 練習開始前から倉庫の掃除やトイレ清掃を行い、選手の飲み物を準備。練習しやすい環境作りに専念する。練習試合では相手校をグラウンドへ誘導、試合ではスコアラーとしてベンチに入りチームを支える。マネジャーを務める中で、自身の成長も実感してきているという。

 「心が広くなったし、小さなことに気づく能力なども上がってきていると思います」

 チームのセンバツ出場が決まれば、自身の晴れ姿をスコアラーとして両親に見せることができる。「自分は支える立場になっているので、両親には自分がサポートしているところを見てもらいたいです」。選手としての聖地に立つことはかなわなかったが、チームに欠かせない“唯一無二”の存在として光り輝く。(デイリースポーツ・北村孝紀)

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