【ゴルフ】渋野日向子の新たな進化とは プロコーチの大西翔太氏「変化なしには進化できない」

 女子ゴルフの渋野日向子(22)=サントリー=が進化を遂げた。10月のスタンレーレディース(静岡・東名CC)で一昨年11月の大王製紙エリエールレディース以来約2年ぶりの優勝を達成。3週後の樋口久子・三菱電機レディースでも優勝を果たした。今年の年明けから取り組んだスイング改造がようやく実を結びつつあるわけだが、どこがどう変わったのか。プロコーチの大西翔太氏の見解を聞いた。

 -渋野のスイングはどのように変わったのでしょうか。

 大西「トップの位置がコンパクトになり、スイングプレーンがフラットになりました。前傾姿勢も以前は深かったのですが、少し浅くなりました」

 -スイング改造で意図したものとは何だったのでしょうか。

 「試合の重圧に負けないスイング作りだと思います。具体的には飛んで曲がらないスイング。トップをコンパクトにしたことで間違いなく曲がり幅は減っています」

 -トップがコンパクトになると飛ばなくなるというマイナス面はないのですか。

 「コンパクトなスイングになれば、スイングの再現性、ミート率が高まるというプラス面がありますから、それほど飛距離が落ちるという心配はありません。渋野プロはスイング改造と平行して足、お尻、体幹といった大きな筋肉のフィジカル面を強化してきました。明らかに体から出るパワーが大きくなっているので、飛距離は逆に伸びています。効率のいいスイングになったともいえます」

 -大西コーチから見て、スイング改造の達成度をどう見ますか。

 「前よりも大きな筋肉を使って打てるようになりました。大きな筋肉は鈍感で一定の同じ動きをしやすい。手などの小さな筋肉は瞬時に余計な動きをしてしまうことがありますが、大きな筋肉を使えるようになったことでスイングの安定感が増しています。目標としているパーオン率は確実に上がると思います」

 -スイング改造自体を思い立った動機についてはどう思いますか。

 「より世界で戦えるためのスイング作りをしたということでしょう。世界のコースは日本と違い、さまざまな芝質、難しいレイアウト、タフな気象条件などをクリアしなければなりません。スイング改造後は飛んで曲がらないことに加え、球の高さも出ています。グリーンに落下する角度、ランディングアングルが45度くらいになり、どんなグリーンにも止めることができるようになっているのも強みでしょう」

 -スイング改造の初期には成績が伴わず、周囲に心配の声もあったといわれています。それについてはどう思いますか。

 「確かに渋野プロは大丈夫なのかという声を聞いたことがあります。でも、最初から目指していたことは明快でした。それは世界のどんなコースにも対応できるスイング作りです。渋野プロのすごいところは、普通は周囲に心配の声があったとしたら、つらいなと感じるものですが、その心配の声を受けとめた上で、自分のやるべきことを見失わずにやり抜いたことです」

 -渋野プロの志の高さということでしょうか。

 「私はゴルフは積み重ねだと思っています。勝つか負けるかじゃなくて、勝つか学ぶかのスポーツです。渋野プロは学んで学んで積み重ねていったわけです。そして学び倒してスタンレーで優勝しました。スイング改造を始めたばかりのころ、周りには現状維持の方がいいんじゃないかという声もあったのは事実ですが、変化なしには進化できないんです。それを渋野プロはやり抜いたのです」

 -今後の渋野プロにどんな期待をしますか。

 「来年はまた米ツアーにチャレンジすると思うのですが、進化した渋野プロならば、間違いなく好成績を収めてくれると思っています。渋野日向子なら必ずやってくれると信じています」

 -ありがとうございました。(デイリースポーツ・松本一之)

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