【野球】阪神・チェン 先輩中田の引退で強めた思い“最後の投げ込み”目に焼きつける

 先輩右腕・中田賢一投手(39)の引退に、阪神のチェン・ウェイン投手(36)はどこかさみしげな表情を浮かべていた。最後に鳴尾浜球場のブルペンで投げ納めする背番号20の姿を、一番近くからじっと見つめていた。

 「中田さんの1年目のブルペンを見ていた。中田さんの17年間は見ていないけど(中日時代から)ブルペンの姿を見ていたので。正直、僕から見ていたら(1年目以降と)そんなに変わっている感じはしない。いい感じで投げている。やっぱり、中田さんの投げる姿はホンマに1年目から変わっていないな」

 故障もない中、中田が下した引退の決断。チェン自身もまだまだできるのではないかと思っていた。中日時代の05年からの7年間、そして阪神時代の1年間の計8年間で共にプレー。中日在籍時は優勝メンバーとして先発ローテを支え合った間柄だ。「個人的には中田さんと吉見さんと3人で仲が良いので、先発ピッチャーとしてのローテーションとしても一緒に回っているし、優勝したこともあるし結構いろんな思い出がたくさんありすぎて」と、懐かしそうに振り返っていた。

 メジャーリーグから20年にロッテに復帰し、21年から阪神へチェンは移籍。「まさか、そこで賢一さんと同じチームメートにもなって…。帰ってきて1年間しかやっていないですけど、この1年間もいい思い出もいっぱいです」。

 中田から引退の連絡をもらった時は、驚きを隠せなかった。体も元気な中での引退に「本人の方が決断的には一番、つらいとは思う」と気持ちをおもんぱかっていた。

 チェン自身、今季は苦しんでいる一年だ。6月20日のファーム交流戦・巨人戦登板時に左肩に違和感を覚えてからは、リハビリを続けている。完全に投げられない状態ではないが、再発のリスクも考え「自分的にはゆっくりでも治せることの方が大事だな」と慎重に調整を進めている。

 「プロはプロでいろんなことを考えないといけない」と、年齢的にも引退が近くなっている立場であることは自分でも分かっている。それでも来季は2年契約の最終年。全力投球でチームの勝利に貢献する覚悟しかない。「自分もいいプレーをできるように頑張りたいので」。中田がユニホームを脱いだその日、チェンは来季の巻き返しへ思いを強めていた。(デイリースポーツ・関谷文哉)

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