【野球】日本戦との決勝に先発の米国代表・マルティネスは日本を愛するナイスガイ

 まさか東京五輪の舞台で、しかも金メダルをかけた頂上決戦で戦うことになるなんて…。野球日本代表「侍ジャパン」は7日の決勝戦でアメリカと再び相まみえる。敵軍の先発は今季ソフトバンクで11試合に登板して7勝2敗、防御率2・03と好調を維持するニック・マルティネス投手(31)。誰よりも日本を愛するナイスガイで、私の心の中には数々の思い出が残っている。

 日本ハム担当を務めていた2018年。アリゾナキャンプに同行した時、右腕と初めて出会った。前年まで所属していた米レンジャーズでは、元日本ハムのダルビッシュ有(現パドレス)とチームメート。入団が決まった後、NPBの公式球をプレゼントされたことを笑顔で教えてくれた。「彼からファイターズは素晴らしいチームだと聞いたんだ」。最大の武器は師匠直伝のカットファストボール。大谷翔平がエンゼルスに移籍し、栗山監督は先発投手陣の軸として期待を寄せていた。

 忘れられない出来事がある。キャンプが終わった後の広島とのオープン戦(マツダスタジアム)。私が試合前の午前中に平和祈念公園を散歩していると、他の助っ人と共に平和祈念資料館に入るマルティネスを見かけた。その後に球場へ行き、練習終わりの右腕に「何で行っていたの?」と聞いてみた。すると陽気な表情が一変。英語が全く分からない私でも一言一言、言葉を選びながら話してくれているのが分かった。

 「あの場所が日本の特別な場所であることは僕も知っています。すごく悲しい気持ちになりましたし、みんなも悲しんでいました」

 一人のアメリカ人として両国の歴史を受け止めようとしている姿に感銘を受け、優しい人柄を感じた。「日本人は本当に礼儀正しいね。僕はそういうところが好きなんだ」。楽天戦で仙台を訪れた際には牛タンに舌鼓を打ち、大好きだというビールを喉に流し込みながら妻・キンバリーさんとの馴れ初めを明かしてくれた。「機嫌が悪くなると怖いんだ(笑)。君の奥さんはどう?」。長女・ヴェラちゃんの誕生祝いにプレゼントを渡すと、私の子供が生まれた時にお返しでベビーグッズを贈ってくれた。わざわざキンバリーさんと都内の店に足を運び、選んでくれたという。

 高校2年までは二塁が主戦場で、本格的に投手を始めたのはその後から。アグレッシブなフィールディングが印象的で、攻撃中のベンチで得点が入った時は野手陣と一緒に飛び跳ねながら喜ぶ。「みんなと勝利を目指してやる。僕はずっとそうやってきたんだ」。来日1年目に10勝を挙げたが、その後の2年間は故障もあって思うような結果を残せず。しかし、ソフトバンクに移籍した今季は本来の姿を取り戻している。

 7月31日の1次リーグ韓国戦に先発して5回4安打1失点9奪三振。マルティネスが悲願の金メダル獲得を目指す稲葉ジャパンの前に立ちはだかる。マルちゃん…今回だけは許してほしい。熱き戦いの末、日本が金色に輝くことを祈っている。(デイリースポーツ・中野雄太)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス