【スポーツ】なぜ戦うのか!長期欠場を乗り越えた44歳女子レスラー加藤園子が6・6に自主興行
まさに七転び八起きの人生だ。なぜ、彼女はそこまでして戦うのか。度重なるけがで約6年にもおよぶ長期欠場を乗り越えた女子プロレスラーが、念願の25周年記念大会のリングに立つ。OZアカデミー認定無差別級王者の加藤園子(44)が6月6日、東京・後楽園ホールで1年越しの自主興行「25年目のコノヤロー祭~Once again~」(11時30分開始)を行う。
加藤は1995年4月15日に「GAEA JAPAN」の旗揚げ戦でデビュー。だが、両膝のけがなどで01年2月2日の後楽園大会を最後に長期欠場を余儀なくされた。
一度はセコンドとして復帰したものの、03年9月23日に相手選手だった納見佳容(44)のブランチャーが足に当たって骨折。そのまま緊急手術を受け、同団体が解散する05年4月までリングに立つことができなかった。
フリーを経て09年には現在のOZアカデミーの所属となったが、その後も故障に苦しめられた。14年6月4日からは肩の手術のため約半年間も試合から遠ざかった。まさに満身創痍(そうい)の女子プロレス人生。だが、折れない心、女子プロレスへの熱い思いで何度もリングに戻ってきた。
加藤はいう。
「若い時代に約6年、正確には5年8カ月以上休んでいたけど、私は一度も引退していない。絶対、プロレスを続けると思っていた」
順調にスターダムを駆け上がる同期生の里村明衣子(41)らに比べ、なかなかシングルの王者になるチャンスは巡ってこなかった。OZアカデミー認定無差別級王者としてシングルのベルトを初めて巻いたのは、デビュー20年を過ぎた15年8月。そのときのうれしさ、感動は「今も忘れてはいない」という。
そして迎えたデビュー25周年。応援し続けてくれたファンに思いを伝えるため、昨年3月15日に自主興行をする予定だった。だが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止。しかも、昨年12月には自らがコロナに感染し、欠場を余儀なくされた。その中で「今の時代だからこそ、大きな大会をやって世の中を明るくしたい。人と人の絆の深さを感じてほしい」という思いが日に日に強くなっていった。
加藤の思いに、所属するOZアカデミーの選手だけではなく、女子プロ界のOGや他団体の選手も賛同し、今回の自主興行が決まった。女子プロ界のレジェンドであるクラッシュギャルズのライオネス飛鳥(57)、ダイナマイト関西(51)、豊田真奈美(50)ら引退した選手たちがスペシャルゲストとして来場。15年前に引退した第59代WWWA世界チャンピオンの前川久美子(48)も加藤のため1日限りの復帰を果たし、堀田祐美子(54)と組み、高橋奈七永(42)、中島安里紗(32)組と試合をして自主興行に花を添える。
「コロナ禍で限定した人数しか入れられないけど、11時15分の前説から気分は祭りです。私は2試合やります。そこで生きざまをみてほしい」
紆余曲折の末にたどり着いた25周年の自主興行。四角いリングに彼女の人生が詰まっている。(デイリースポーツ・今野良彦)