【野球】青森で実現した“甲子園の土”未来の高校球児へと紡がれる思い

 第102回全国高校野球選手権青森大会の中止を受けて県独自で開催された今夏の青森代替大会は7月28日、青森山田の優勝で幕を閉じた。同大会の主要会場だったダイシンベースボールスタジアムは球児のため、例年とは違った仕様が実現。青森県高野連と青森銀行野球部の有志によるクラウドファンディングが成功し、甲子園と同じ土で整備されて熱戦を彩った。

 「青森の高校野球応援!2020年は甲子園と同じ土で完全燃焼を!」クラウドファンディングと題し、立ち上げられたプロジェクトは同県出身の阪神・木浪や西武・外崎らからも賛同を受けた。6月17日の募集開始から7日目で目標額の300万円を達成。最終的には415万円もの寄付金が集まった。

 7月6日に甲子園と同じ土35トンが搬入されると、同球場の職員が同14日の開幕へ向けて準備に取り組んだ。梅雨空が続く中での整備。青森県高野連・高橋聡理事長は「徹夜で何回もやってくださって。試行錯誤をしながら」とスタッフらに対し、感謝の思いを口にした。

 15日の同球場での1回戦でプレーした弘前東・藤田青空(そら)捕手(3年)も「すごいフカフカしていてやりやすかったですね。貴重な経験にもなりますし、新鮮できょうはやっていてちょっと楽しかった」と“聖地”の感触をかみしめた。

 クラウドファンディングによって寄せられた多くの気持ちを、高橋理事長は高校球児だけでなく下の世代にもつないでいく姿勢だ。「思いがこもっている球場ということで。思いはずっと続けていきたい」。9月下旬には中学生の秋季大会が同球場で開幕予定。土は“甲子園仕様”のままとなる見込みだ。

 青森県中体連・須藤浩延軟式野球部会長も粋な計らいをしっかりと受け止めている。「ありがたいです。野球離れとかあるじゃないですか。(甲子園と同じ土でのプレーは)子どもたちの希望とか、勢い、励み、力になる」と喜んだ。

 野球ファンから高校生、そして未来の高校球児へ-。コロナ禍によってさまざまな競技の大会が延期、中止となるなど改めてスポーツの意義が問われた特別な年。“甲子園の土”に込められた青森の野球人たち願いが、しっかりと紡がれていくことに期待したい。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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