【野球】プロ野球「天覧試合」から隆盛…コロナ禍特別な年に長嶋茂雄級のスター誕生願う

 コロナ禍の影響でプロ野球は約3カ月遅れで開幕を迎えた。球史に残る1年になるのは間違いないだろう。61年前のきょう、1959年6月25日に球史に残る一戦が行われた。天皇・皇后陛下が後楽園球場で行われた巨人-大阪(現阪神)戦を観戦した日である。プロ野球史で昭和から平成そして令和へと時代が流れる中、天覧試合はこの1試合しかない。

 試合は巨人・藤田元司、大阪・小山正明の両エースの投げ合いも点の取り合い。4-4の同点の九回裏にプロ2年目の長嶋茂雄が新人でミスタータイガースとなる村山実からサヨナラ本塁打を放つ劇的な試合となった。

 昨年8月に亡くなった鎌田実は、プロ2年目で天覧試合に大阪の「2番・二塁手」で先発出場。生前「『野球は筋書きのないドラマ』というが、野球の神様が天覧試合のために筋書きを作っていたかのような名勝負だった。天覧試合は敵、味方を越えて終生の思い出だ」と語っていた。

 大阪の先発を務め、現在デイリースポーツ評論家の小山は「今の子たちと僕らがやっている年代や、それより先輩の天皇陛下への感覚が違う。ガキのころにお召し列車を見に行って頭を上げることができない時代。独特の雰囲気だったよ」と当時を振り返った。この年、防御率1・86、20勝を挙げた小山も天覧試合では「緊張もあったし、調子も悪かった」と、七回途中まで長嶋、坂崎一彦そして新人の王貞治に本塁打を浴び4失点で降板した。

 前年の58年限りで創生期からプロ野球を支えてきた巨人・川上哲治、大阪・藤村富美男が現役を引退。世代交代の進む中で長嶋、王の活躍はプロ野球人気に拍車をかけた。小山は「あれから王、長嶋で球界も盛り上がった。巨人ファンじゃなくても長嶋は注目された。ミスタージャイアンツじゃなくミスターベースボールとして」という。

 小山は続けた。「長嶋、王が出てそのあとに真のスーパースターが出てきていないんじゃないか。イチロー、松井(秀喜)もいたが、みんなメジャーに行くからなあ…。真のスーパースターが出て球界を盛り上げてほしい」。コロナ禍で特別なシーズンとなっているプロ野球。昨今、野球人気の低下が叫ばれるものの、開幕と同時に野球ファンは盛り上がりを見せる。長嶋のようなドラマを生む日本球界を背負う真のスーパースター誕生を願いたい。=敬称略(デイリースポーツ・岩本 隆)

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