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【芸能】ゲゲゲの鬼太郎は「妖怪に呼ばれて」始まる?時代映したギャラクシー賞特別賞

「ゲゲゲの鬼太郎」(第6期)(C)水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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 アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」がこれまで何シリーズ放送されてきたかご存じだろうか。正解は今年の春終了分までの6シリーズ(墓場鬼太郎は除く)。その第6期は第1期が始まった1968年から50周年を迎えた2018年から約2年間放送され、優れた放送番組や出演者などを表彰する「第57回ギャラクシー賞」のテレビ部門特別賞も受賞した。ただ、実は記念作品として“狙った”ものではなかったのだとか。その舞台裏をプロデューサーを務めた東映アニメーションの永富大地氏と、フジテレビの狩野雄太氏に話を聞いた。

 「ゲゲゲの鬼太郎」制作関係者の間では「妖怪に呼ばれた」という言い回しがあると永富氏は話す。大抵のアニメ作品は、マーケティング面も含めて“狙いを定めて”立ち上げるのが一般的だが、鬼太郎の場合はちょっぴり違うようだ。「なんかそろそろ、鬼太郎の出番なんじゃないかというのを、フジテレビさんだったり、東映アニメだったり水木プロだったりがちょっとずつ思い始めて始まるんだよって、先輩達から聞いていたんです」(永富氏)。今回も、誰かが50周年を意識して、企画を強行に進めたわけでもなく「企画書を書いてしばらくたってから、『あれ?ちょっとまってこれ50年なんじゃないの』ってなりました」という緩めの空気感だったのだという。

 第1期が68年開始。第2期は71年。以後、85年、96年、07年、18年と約10年スパンで新作が組まれてきた。第6期は狩野氏が「原作のフレームは残しながら、社会風刺とかも織り込んだ作品、アニメーションにしたというのがご好評をいただいたのかなと思います」と振り返るように、「原点回帰」を意識して作られた。同時に考えられたのが「妖怪の居場所」。たとえば、バブル景気へと向かう80年代の第3期では、リゾート開発などによる自然破壊で妖怪らが怒る、という流れが一つのストーリーとしてあった。現代ではどうか。

 「SNSだったり、スマホだったり、インターネットを介したコミュニケーションの中で生まれる齟齬であったり、人間の心の闇みたいなところって変わってきたと思うんですよね。なので、気にするという意味では人間と人間の社会っていうものを必然的に気にせざるをえなかったなと思います」(永富氏)

 妖怪を呼び込む心のスキマがどこに生まれるかを骨格に、設定は工夫する。今回の第6期単体でギャラクシー賞を受賞したというよりは、「この50年、やり続けてきたことにご評価をいただいたのかな」と考えていると永富氏は振り返った。

 新たな挑戦も織り込んだ。主要キャラの一人、ねこ娘のデザインはすらりとした長身に変わった。前シリーズの第5期で、妖怪のねこ娘が、人間の世界で仕事をする描写が加わりアイドル的に生まれ変わったのを見ていた永富氏は「ねこ娘っていうのはこうやって装いを新たにすると、お客さんから評価をされるというか、みんなが注目する存在なんだ」と感じていたと話す。第6期では犬山まなという人間の中学生キャラが登場したこともあり、「すみ分けの意味でスラっとしているキャラクターがいてもいいだろう」(狩野氏)と設定を一新した。狩野氏は「鬼太郎に恋しているけど、異性にこびたりする感じじゃなくて、飾っていない女の子みたいな様がすごい今っぽい女の子の感じが出ていて、よかったなと」と、さまざまな反響を含めて狙い通りだったと明かした。

 また、名物キャラの「目玉おやじ」も第1期から5期まで声をあてた田の中勇さんが2010年に死去したため、代わって「ドラゴンボール」の孫悟空役でおなじみの野沢雅子が務めたことも話題になった。「ゲゲゲの鬼太郎」では第1期、第2期で主人公の鬼太郎を演じた作品にとってのレジェンドでもある。オーディションで野沢版の目玉おやじを聞いた瞬間、「この方以外にないな」と永富氏は痛感したという。「アフレコ現場でも気づいたら多くの人から好かれて周囲に輪が」(狩野氏)、「(作中で)目玉おやじの元の姿という役柄をお願いしたのですがそれがめちゃくちゃにカッコよかったです。目玉おやじからのそのキャラの変更っぷりが素晴らしくてさすがだなと思いました」(永富氏)。野沢版の目玉オヤジは“変化”であり、作品の“背骨”でもなる重要な役割を担った。

 形を時代に合わせながら、フラリとわれわれの前に戻ってくる「ゲゲゲの鬼太郎」。次シリーズはいつになるのか?と質問をぶつけると「きっと妖怪が呼んで7期っていうのはあると、うっすら考えています」と永富氏。その一方で、2022年は原作者の水木しげるさんの生誕100年という節目の年になるため「この年は何かやらないといけないんだろうな」と考えているという。目に見えないけど側にいる。鬼太郎はそんな存在なのかもしれない。(デイリースポーツ・広川 継)

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