【スポーツ】渋野日向子 トレードマークの笑顔でつかんだ初優勝 2019年女子ツアーを振り返る

 昨年5月12日に茨城GC東Cで開催されたワールドサロンパスカップ最終日。渋野日向子(21)=サントリー=が4バーディー、3ボギーの71で回り、通算12アンダーで初優勝を果たした。黄金世代のツアー優勝者はこの時点で6人目、初優勝をメジャー大会で果たした選手は史上13人目、20歳178日での優勝は大会史上最年少記録だった。

 優勝争いはペ・ソンウ(韓国)との一騎打ちとなった。初めての最終日最終組という重圧の中、1番でボギーが先行したが、2番で3メートルを入れてバーディー。4番のボギーの後も続く5番で10メートルのバーディーパットをねじ込んだ。渋野の代名詞ともいえるバウンスバック(ボギーの直後にバーディー以上で上がる)はこの頃から顕著だった。

 単独首位に立ったのは8番。6メートルのバーディーパットを沈めた。9番はペに先にバーディーを決められた直後に3メートルを入れ返した。そしてフェアウエーに大きな木がそびえる最難関16番。第1打、第2打とも完ぺきなショットを放ち、第2打を右へ曲げてダブルボギーとしたペを突き離した。最終18番は2メートルのバーディーパットを外してギャラリーのため息を誘ったが、70センチのウィニンイングパットを決めて、直後に大粒の涙を流した。

 優勝会見では「さすがに涙がこみ上げてきました。うれし涙は高2の時以来ですかね。悔し涙はしょっちゅうですけど。私より前に黄金世代がたくさん優勝しているので、そこはピンとこないけど、今日の優勝が生まれてから一番うれしい」と感慨に浸った。

 前年のプロテストに2回目の挑戦で合格したばかりのルーキーが、メジャー大会で初優勝。その原動力になったのは、後に全世界を魅了した笑顔だった。この日はミスしてもナイスショットしても常に笑みを絶やさずプレー。「前は喜怒哀楽を表に出していた。でも、それだとスコアが悪いと気づき、今は何があっても笑っていれば何とかなると思っている。今日の勝因?やっぱり笑顔ですかね」と屈託なく話していた。たがと謙虚に受けとめた。

 このメジャー優勝の持つ意味は大きかった。3年シードを手にしただけでなく、賞金ランクが大会前の22位から2位へ急浮上し、6月末のアース・モンダミンカップ終了時点の賞金ランクで出場選手が決まる全英女子オープン参戦のチャンスが広がったのだ。「3年シード?それ本当ですか?全英?それも本当ですか?出てみたいです。私、すごい試合で勝ってしまったんですね…」。そして、ご存じの通り、8月の全英女子オープンで日本人42年ぶりのメジャー制覇を達成。ワールドサロンパスカップの優勝は、3か月後に世界を驚かせる快挙の序章だった。

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