【野球】阪神 謝罪からの再スタート 野球ができる喜びを再確認する機会に

 阪神では今月15日から、甲子園球場での自主練習を再開させた。

 3月26日までに伊藤隼太外野手、藤浪晋太郎投手、長坂拳弥捕手の3人が、新型コロナウイルスに感染したことが発覚した。NPBの選手としては初で、現時点で他球団の感染者はいない。

 避けたかった所属選手の感染、それも集団に及んだ結果に、揚塩健治球団社長も「大変深く重く受け取っています。3人という複数名で発症したことに対しても、大変重く感じております」と謝罪。7日から活動休止を決めた。

 全選手が約3週間の自宅待機期間を経ての活動再開。初日の練習後、先だってオンライン取材に応じた福留孝介外野手は、チーム最年長のベテランとして開口一番、謝罪の言葉を発した。

 「NPBの関係者をはじめ、中日の関係者、阪神の職員の方々に本当に多大なご迷惑をお掛けしたというのは、同じチームでプレーしている選手として、本当にみなさんに申し訳なかったな、というのを最初に言わせてください」

 暗いリスタートにはなったが、各選手が再び野球ができる喜び、支えてくれる人への感謝、ファンの有り難さなどを再確認する機会にもなったようだ。大山悠輔内野手が「野球は楽しいなと。早く野球がやりたいなと素直に思いました」と話せば、木浪聖也内野手も「野球ができないのが一番悔しかった。家にいても暇で、野球がやりたい思いでずっといました」と胸中を明かした。

 また、近本光司外野手は潜在意識改革のため、苦手としていたコーヒーに挑戦。矢野燿大監督や、西純矢投手らは「自分を見つめ直す良い時間なので、読書など今後自分のプラスになることを探していきたい」と、趣味の時間を有意義に使いながら、見聞を広め、野球につなげる学びを続けてきた。

 シーズンの開幕が遅れ、東京五輪は延期になった。17日、オンラインで臨時の12球団代表者会議が開かれ、5月中の開幕断念と、交流戦の中止を発表。2005年に始まった交流戦の中止は、16年目にして初めてになる。試合数削減を含めた大幅な日程再編も必至。最短で6月開幕になるが、これすら先が見えない。

 日本だけじゃなく、世界中で苦しい闘いが続く。それでもプロ野球選手には、野球の力を信じ、開幕を待ち望む声に応える使命がある。選手会長を務める梅野隆太郎捕手が言う。

 「福留さんもおっしゃっていたように、自チームから(感染者が)出たので。そこは真摯(しんし)に受け止めていかないといけない。何で返せるかと言ったら、自分たちには野球しかないと思う」

 謝罪からの再スタート。野球ができない悔しさを味わい、野球のない生活に学び、野球ができる喜びを感じた3週間。激動の1年を制すべく、再び走り始めた。(デイリースポーツ・田中政行)

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