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【野球】新庄剛志 やっぱりアンタ、宇宙人だよ…阪神で、メジャーで追いかけた日々

 愛知県生まれで生粋の中日ファン。地元のスポーツ紙とは相思相愛の関係になれず、97年にデイリースポーツに入社した。最初の取材先は阪神。「新庄は字になるからな。結婚が分かれば1面や!」。先輩からそう言われたが、そもそも新庄って誰?

 1971年度生まれのプロ野球選手。元木大介、前田智徳、仁志敏久、種田仁、吉岡雄二、大越基、山田喜久夫、井上一樹、浅井樹…。みんな同級生だけど、マジで新庄剛志は知らなかった。

 97年5月。指令が下った。「新庄が結婚するという情報がある。明日から3カ月、くまなく調べてくれ」。当時、兵庫県灘区の独身寮で暮らしていた。夜になれば、イノシシが大群で散歩するという地区でもあった。幸い早起きは得意。毎朝8時から深夜まで芦屋市内の新庄邸をマークする日々が続いた。

 今思うと、完全な不審者だ。駐車場に車があるかをフェンス越しにのぞき込み、近隣のガソリンスタンド、コンビニ、散歩中の見知らぬ人にも「新庄が結婚するって話、聞いてないですか?」と毎日、同じことを聞いて回った。

 偵察には不向きな場所だった。川沿いにあったマンションを隠れて眺めるだけの“障害物”が皆無に等しかった。1カ月で本人にバレた。実は一度だけ近くの橋の上ですれ違っており、その時にバレていた。球団広報からも取材自粛の要請。甲子園の三塁スタンドで「もう二度としません」と謝罪した記憶は新しい。

 01年、新庄は海を渡った。米大リーグ・メッツへのFA移籍。社命を受け、同年5月に新庄を追った。1カ月の海外出張。当初、途中の2週間はマリナーズのイチロー取材に回る予定だったが、日本選手初のサヨナラ打を放つなど、阪神時代以上の爆発ぶりに予定変更となり、丸々1カ月追いかけることになった。

 日本選手初のサヨナラ打を放った5月20日のドジャース戦。同点の九回2死一、三塁から、鋭いライナーが二遊間を破り、本拠地のシェイスタジアムが歓喜に揺れた。試合後、メディアの間を縫って新庄が真横に来た。

 「打つと思った?」

 そう聞かれたので、「打ってくれ!」と答えると、新庄から左肘で小突かれた。

 「打つと思った!でしょ」。会見場は大爆笑に包まれ、新庄との距離が一気に詰まった印象を受けた。

 帰国前日には、どこから聞きつけたのか「明日帰るんでしょ?気をつけて」とグータッチで送り出してくれ、通訳を通じてサインボールを2個くれた。自分のことを知ってくれて、自分のために言葉を掛けてくれた。本気で涙が出そうだった。

 2年後。3年間のメジャー生活を終え、日本に戻ってきた新庄と再会した。「名前なんだっけ?どこで会った?ニューヨーク?サンフラン(シスコ)?」。記録より記憶に残る男。やっぱりアンタ、宇宙人だよ!(デイリースポーツ・鈴木健一)

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