【競馬】今年も凱旋門賞の扉は開かれず 英国調整をNF天栄場長が振り返る

 ここまで“競馬の質”が違うものなのか-。10月6日のパリロンシャン競馬場は主催者発表でベリーソフト(不良に近い重馬場)。断続的に降り続いた雨の影響で、今年の凱旋門賞は相当タフなコンディションで行われた。

 1、2レースに行われた2歳マイルG1はそれぞれ1分41秒26、1分44秒15で決着し、凱旋門賞のVタイムは2分31秒97。この時計のかかり具合だけ見ても、日本とヨーロッパの競馬に求められる適性の違いは明白。日本から遠征した3頭が見せ場すらつくれなかったのも、仕方なかったのかもしれない。

 今年、日本から凱旋門賞に出走する上で、初の試みとなった英国ニューマーケット滞在が注目を集めた。しかし、英国で調整していたブラストワンピース(牡4歳、美浦・大竹)とフィエールマン(牡4歳、美浦・手塚)は、ともに本番で惨敗(11着と最下位12着)。2頭の調整に帯同していた福島県・ノーザンファーム天栄の木實谷雄太場長は、この結果をいかに受け止めたのだろうか-。

 「9月11日にニューマーケット入りしてからの2頭は輸送の疲れもすぐに回復し、こちらの意図通りのメニューで調整を進めていくことができました。現地では、できる限り日本でかかっていた負荷と同レベルでのトレーニングができるように工夫をして、実際に毛ヅヤや馬体の張りを見ても、日本で走っている時と同等かそれ以上のコンディションに整えることができたと思います」

 レースに至るまでの調整過程に胸を張った場長。しかし…。

 「当日朝、ルメール、川田の両騎手が馬場を歩いた時点で顔を曇らすほどの馬場状態になってしまいました。せめて今回のニューマーケット滞在という試みがどうだったのかを測るという意味でも、いい馬場で走らせたかったのですが…。ただ、それも含めての競馬ですし、こればかりは仕方ないと考えています」

 続けて

 「このような結果に終わってしまったのにもかかわらず、レース後は2頭とも疲れ切った様子を見せており、応援してくださった会員さまやファンの皆さま、頑張って走ってくれた馬に申し訳ないという気持ちです。また、自分自身も改めて競馬の方向性の違いを痛感させられたところです。ただ、今回の結果を馬場だけのせいにしては短絡的ですし、改めて精査をして、この経験を次の機会に生かしたいと思っています」と諦めずにチャレンジし続けることを誓った。

 1960年スピードシンボリの初挑戦から、長らく日本馬の悲願となっている凱旋門賞制覇。今年もその扉の重さを痛感する結果に終わってしまったが、いつの日か“歴史的瞬間”が訪れる日を信じて待ちたい。(デイリースポーツ・刀根善郎)

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