【スポーツ】「ONE TEAM」でラグビーW杯へ 陰の立て役者たち

 ラグビーのパシフィックネーションズ杯は、3戦全勝で日本が優勝した。フィジー、トンガ、アメリカと体格の大きい相手を下しての勝利は、40日後に開幕するW杯に向けて、大きく弾みを付ける結果となった。そんな、華やかなシーンの陰で、縁の下でチームを支えた選手たちがいた。

 優勝を決めた10日のアメリカ戦(フィジー・スバ)を終えて、リーチ・マイケル主将(30)=東芝=は「ラインアウトディフェンスが非常によかった」と話した。確かに相手ボールのラインアウトで、時にはボール奪取に成功するなど、日本が優位に立つシーンが目立った。これには確かな準備があった。

 フィジー遠征メンバー26人から、SH茂野海人(28)=トヨタ自動車、フランカー徳永祥尭(27)=東芝、フッカー堀越康介(24)=サントリーの3人が試合登録メンバーから外れた。

 リーチ主将は試合前に話していた。「徳永が相手のラインアウトを分析して、全部のサインを練習した。堀越と一緒にサインを合わせたり、リザーブメンバーを使ってアメリカの選手のラインアウトをやったりしました。ラインアウトは万全です」。その自信は、結果となって表れたのだった。

 徳永はこの日、試合中に選手に給水するウオーターボーイも務めた。今回のフィジー遠征から外れたフランカー布巻峻介(27)=パナソニック=は先のフィジー戦、トンガ戦でウオーターボーイを務めた。布巻もまた、陰の立役者だった。

 日本代表はフィジー入り後、トンガ戦の反省からブレークダウン(タックル後のボールの争奪戦)の練習を反復した。

 SH流大(26)=サントリー=は「布巻がみんなに、そういうところが必要だと伝えた。リーチさんがリーダー陣に話して練習した」と説明する。ウオーターボーイを務めながら、試合を分析した布巻。その提案を取り入れてのものだった。

 リーチ主将も「先週の布巻の働きはチームにとってよかったですね。(母の葬儀などで)ジェイミー(・ジョセフヘッドコーチ)がいない中で、選手から言われる。すごく感じた。ブレークダウン周りは布巻も強い選手。彼が言ってくれると重いです」と振り返った。

 流は言う。「ノンメンバーになって歯がゆい思いをしていると思いますけど、チームに必要なことをやってくれる。いろんなことが積み重なっていい積み上げができている。全員の力で日本代表になっているし、誰一人として欠けてはいけない」。

 日本代表が掲げるスローガンが「ONE TEAM」。8月末に発表されるW杯日本代表は31人。当然、W杯を目指して戦ってきながら外れる選手もいる。日本代表を支えてきた、落選する選手を含めて形成されるのが「ONE TEAM」。大舞台に臨むチームを、リーチ主将はこう表現した。「いい感じに、一体感はあります」。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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