【野球】巨人支えるリリーフ左腕・中川 獅子奮迅の活躍のカギは対左の被打率改善
開幕から好調だった巨人が、広島に首位の座を奪われた。抑えのクックが抹消され、救援陣の整備の必要性が問われる中、リリーフ陣の頼みの綱としてチームを支えているのが中川皓太投手だ。20試合に登板し、失点はわずかに1。防御率は0・43(5月27日現在)。4年目の今季、急成長を遂げた左腕は時にはセットアッパー、時には最終回を締める。勝利の方程式の一角として獅子奮迅の活躍。飛躍は左の対戦被打率の改善にあった。
昨年は30試合、全て中継ぎで登板し防御率5・02だった。好調の秘けつについて中川は言う。「真っすぐは去年とそんなに変わりはないですけど、変化球の精度がよくなってるのかなと思います。今のところ、いいボールがいっているとは自分でも思ってます」。
左打者の被打率が少なくなったことが信頼を得るまでになったようだ。昨年は対左の被打率・342と打たれるケースが多かったが、今季はここまで34打数で3安打で、被打率・088と驚異的な数字だ。「左バッターと対戦することは確実に多いので、左を抑えることは大事なのかなと」。
昨季中から投球フォーム改造に乗り出し、しっかりフォームが身についたという。「自分でもやってみようかと思って試しました。このフォームの方がしっくりくる」。若干、左腕を下げ球威、制球も安定。左打者に対し今季、不安な気持ちにならずにボールを投げ込んでいる。
スライダーがよくなったという中川の際立つ数字がさらにある。今季は左打者にスライダーを打たれたケースは一度もなく、11打数ノーヒット。(共同通信デジタル調べ)DeNA・筒香、中日・大島、遠藤の左打者に打たれた球種は全て直球。それについて中川は言う。「確かに左バッターが嫌がっている感じはありますね」。自信を持ってスライダーを投げ込んでいることが、結果に表れているようだ。
宮本投手総合コーチには「一番、強いところでいくからな」と終盤の相手打線が強いイニングを任され、7ホールド3セーブ。「心の準備は毎試合しています。チームの勝利につながるように、しっかり抑えたいですね」。成長著しい左腕が終盤の厳しい場面を封じ、チームを勝利へと導く。
(デイリースポーツ・水足丈夫)