【野球】歴代U18代表監督の渡辺氏、西谷氏が初の世界一獲得へ経験を注入

講義をする横浜・渡辺前監督=大阪市西区の日本高野連(撮影・山口登)
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 U18W杯(韓国)に向けた侍ジャパン高校代表候補の国際大会対策研修合宿が5日、大阪市内で始まった。初日の座学では、ともに代表監督として国際大会で指揮した前横浜監督・渡辺元智氏と大阪桐蔭・西谷浩一監督が講師役を担当。参加した代表第1次候補30人に、世界一への心構えを熱く語った。

 「(センバツ)優勝おめでとう」。西谷監督は講義の冒頭、春の王者となった東邦・石川昂弥投手(3年)に声をかけた。大会をほぼ一人で投げ抜いた右腕の疲労度を気にかけながら、話題は夏の甲子園後に予定される国際大会に挑む難しさに発展。トーナメント戦とは違う戦いで、ピークをどう持っていくかなどを説いた。

 世界と戦う上で、乗り越えなくてはならない壁、課題も端的にまとめて伝授した。(1)短時間でチームを作り上げること(2)木製バットへの対応(3)ルールの問題(4)環境に慣れること。この4つのポイントを胸に刻んで挑む重要性を掲げた。

 (3)では大差では盗塁をしないといった“不文律”の存在や、審判の出身国によってクセを見抜く必要性を挙げた。(4)では時間にルーズな海外での試合で、いかにメリハリをつけてコンディションを整えていくか力説。大阪桐蔭・森友哉(現西武)がロッカールームで段ボールを敷いて仮眠を取って試合に備えた13年W杯の逸話を例に、わかりやすく伝えた。

 「一流になるには一流を知ること」。渡辺氏は、主に精神的な部分について言葉を投げかけた。18年の平昌五輪で金メダルを獲得したスピードスケート女子500メートルの小平奈緒ら他競技で活躍するアスリートの考え方を紹介。技術面の話になると、バットを手に身ぶり手ぶりを交えて語った。

 昨夏の甲子園や今春センバツの試合にも言及し、「人の試合を見ると、野球が立体的に、多面的に見えてくる」とゲームを見て学ぶことも勧めた。「今後の人生に糧となる3日間」と今回の合宿を位置づけ、グラウンドで積極的に質問することにも期待。まだ候補の段階ながら、日の丸を背負う覚悟で練習することを望んだ。

 2人の名将に共通する思いは、いたってシンプルだ。西谷監督が「世界一になるんだということを心に持ってもらいたい」と口にすれば、渡辺氏も「世界大会に的を絞る。それが甲子園の優勝につながってくる」と力を込めた。

 昨年のU18アジア選手権で3位に終わったことで、国際大会対策プロジェクトチームが立ち上げられた。そのメンバーに名を連ねる両氏。歴代代表監督の経験を惜しみなく注入することからも、初の世界一獲得への本気度がひしひしと伝わってきた。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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