【野球】日本ハム・杉谷 素顔はストイックな男「第一に野球選手だから」

 試合開始5時間前の札幌ドーム。外野フェンス際に目を凝らすと一人、黙々とランニングする選手がいる。今季プロ11年目を迎えた日本ハム・杉谷拳士内野手(28)。バラエティー番組などでもお茶の間の人気者だが、この時の表情は厳しい。

 オーストラリア単身武者修行に旅立つ直前。千葉・鎌ケ谷の2軍施設で自主トレに励む杉谷に言われた言葉が、脳裏を離れない。「俺、最初からテレビのことを聞いてくる人には答えたくない。第一に野球選手だから」。試合前と同じく、厳しい表情で紡ぐ一言一言に少し差し込まれた。

 こんなことを書けば「営業妨害!」と言って怒られるかもしれない。番組で見せる“面白いプロ野球選手”からは想像がつかないくらい、グラウンドではストイックだ。試合前の準備にはじまり、年末年始返上で取り組んだ豪州トレでは、昨年以上に過酷なトレーニングの日々を送った。

 内外野をこなす貴重なユーティリティープレーヤーだが、もちろん目指すのはレギュラー奪取。今季のオープン戦はここまで6試合に出場して13打数5安打、打率385(16日現在)。王柏融の加入で競争はさらに激化しており、定位置を奪うことは容易ではない。厳しい状況の中で必死に食らいついている。プロとして、成し遂げなければならない絶対的な目標のためにだ。

 もう一つ、杉谷には白球を追う原動力がある。母校・帝京の一学年後輩で、今年1月に大腸がんを公表した阪神・原口の存在だ。「誰からも愛される男だし、とにかく根性がある。高校の時も朝練のために毎朝、始発電車で2時間かけて通っていた。1日でも早く復帰できるように願っています」。原口が練習に復帰した今月7日、杉谷は再び激励した。

 「シーズン中にまた一緒にプレーできることを願っています。お互いまだまだ頑張らないと!」

 青春時代を共に過ごした仲間の姿に心を動かされ、また力がみなぎる。今季もオフ期間のテレビ番組では見せない、杉谷のギャップに大注目。走攻守で満点の輝きを放てばチームも底上げされ、3年ぶりの日本一奪還にも近づくと信じている。(デイリースポーツ・中野雄太)

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