【野球】日本ハム清宮、イチローを知るメジャー元監督も無限の可能性に期待

 日本ハム担当として、昨年に続き米アリゾナ1軍キャンプへ。今年は1月28日~2月12日の期間、開幕に向けて準備を進める選手たちを追った。プロ2年目を迎える清宮幸太郎に加え、新加入組の金子弌大や王柏融と話題はめじろ押し。そして大リーグで活躍するダルビッシュ有、大谷翔平の電撃訪問。濃密な16日間を過ごしたわけだが、ある人物からイチローにまつわる貴重なエピソードを聞いたことが、一番心に残っているかもしれない。

 ドン・ワカマツ-。

 米マリナーズでアジア系米国人初となるメジャーの監督となり、今は日本ハムが提携を結ぶ米レンジャーズのベンチコーチ。日系3世を父に持つ元メジャーリーガーは2月9、10日と2日間ファイターズのキャンプ地を視察に訪れた。記者は将来メジャー挑戦を夢見る清宮の印象を問うため、同氏に突撃取材を試みた。そこで前述の通り、マリナーズ時代の09、10年に監督-選手という立場で時間を共有したイチローとの秘話を教えてくれた。

 「WBCから戻ってきた時に話したことをよく覚えていますね。『国を背負ってプレーする上でプレッシャーにはどう対応していたの?』ということを聞いてみたんです。彼は飛行機が離陸する時の雑音に例えました。飛び立っていく飛行機の音と認識するか、それとも雑音と認識するかは個人の捉え方。プレッシャーがかかる場面でそれをプレッシャーと捉えるか、自然なことと捉えるか。イチロー選手には(後者で)自然なことでしたね」

 日本が2大会連続優勝を成し遂げた09年の第2回WBC。決勝・韓国戦でイチローが林昌勇から放った決勝タイムリーは、後世に語り継がれるあまりにも有名な伝説の一打。その後マリナーズへ戻り、ワカマツ氏と再会した際に当時のメンタリティーを明かしたという。思い出に浸り、興奮しながら言葉を続ける同氏の横で、記者も興奮を隠せなかった。

 3年後…。リトルリーグ世界選手権で世界一となった清宮は、ヤンキースタジアムでイチローと初対面。昨年末にはほっともっとフィールド神戸で合同自主トレが実現した。王者のメンタルティーに触れた19歳に対し、ワカマツ氏は「一番驚いたのは若い選手なのに体が大きくて、力がついているなということ」と期待を込める。続けてエールを送った。

 「何か壁にぶち当たった時にどう反応するか。それが彼の今後の行く末を左右するんじゃないかと思います。若い選手で才能がある選手は厳しくマークされるのが当たり前だと思うし、そういう意味で難しい状況の中で経験を積んでいくことになると思います。若い選手は急ぎがちですけど、精神的に大人になって、大人な立ち振る舞いで打席に立てるか。大人として考えることができるかが、スターになる上で大事になってくると思います」

 清宮にとってプロ2年目を迎える今季はレギュラー奪取を目指す1年であり、20年東京五輪に向けて猛アピールする1年。プレッシャーに押しつぶされることなく、度重なる試練も力強く乗り越えていければ、必ず成長曲線を描いて突き進んでいくことができる。

 イチローと清宮。26歳も離れた2人だが、ワカマツ氏は共通する何かを見つけていたような気がする。記者は19年シーズン、その何かを探していきたい。

(デイリースポーツ・中野雄太)

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