【野球】元巨人の高校教師“教育者”として行う小さな積み重ねとは…研修会で指南役

 本気で生徒に向き合っているからこそ、口調に熱がこもった。「生徒とともに、悩みを打開していく。目標を達成した時には心が震えます。そんな毎日です」。14日に行われた学生野球資格回復のプロ側研修会。アマ指導者として、ひとりの元プロ選手が講師役として壇上に上がった。

 東海大静岡翔洋高校野球部の監督を務める原俊介氏(41)。95年にドラフト1位で巨人入りし、11年間プレー。引退後に教員免許を取得した。

 「部活動は学校生活の一部です。授業中での緩慢な態度は、プレースタイルにも反映します。エラーをしたら切れっぱなし。調子が悪いと自分のことだけ。プレーに粘り強さがなくなります」。

 保健体育の教員として、クラスの担任も受け持つ。野球部の寮で生徒と寝食をともにし、「人間教育」に励んでいるからこそ、説得力があった。

 教育者としての現実も突きつけた。「元プロが現場に飛び込んだときに最初に壁になるのが、野球だけやっているんでしょ?という目です」。ただ、甲子園を目指すだけの世界ではない。教育者として訴え続けた。

 原氏は真の教育者になるため、自身が行っている積み重ねについても明かした。「私は着任した日から今なお、続けていることがあります。学校に行ったら、職員室の掃除をするんです。シュレッダーで散らかった紙があるので毎日、掃除機をかけます。そうすると段々、違った目で見られるようになってきました」。

 2年前に原氏を取材した際、「高校野球の監督って、こんな激務の中よくできるなと思ってしまう。本当に頭が下がります」と語っていたことを思い出す。その激務の中で原氏は生徒と一緒に早く起き、海岸のゴミ拾いを行っていた。就任4年目、あと一歩で甲子園に届いていないが、生徒の人間形成には多大な影響を及ぼしているだろう。

 この日、講義を受けた136人の中には、巨人時代に2軍監督として指導を受けた前DeNAGM・高田繁氏の姿もあった。原氏は「何を話したか、半分くらい覚えてません」と苦笑いを浮かべていたが、その思いは出席者の心にしっかりと刻まれたはずだ。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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