【野球】スカウトからの称賛相次ぐ星稜150キロ右腕・奥川「来年の1位候補」

 来秋ドラフト1位候補が、強烈なインパクトを残した。明治神宮大会2回戦。星稜(石川)の最速150キロ右腕・奥川恭伸投手(2年)が、広陵(広島)との優勝候補対決で圧巻の投球を見せた。

 スケールの大きさを感じさせる78球だった。「7、8割の力でコースを狙って投げた」。初回にこの試合で最速の149キロを計測し、3つのアウトは全て空振り三振。右打者が完全にボール球のスライダーに手を出すなど、キレを感じさせた。

 二回も2三振、三回にも2三振。3回終了時点で7三振を奪いながら制球も良く、球数はわずか30球だった。

 終わってみれば、7回3安打無四球無失点で、七回コールド勝ちに貢献。決め球のスライダーと、今大会から解禁したフォークも交えて11三振を奪った。松坂大輔(横浜)が持つ大会記録の1試合最多14三振にあと3に迫る快投だった。

 広陵は秋季中国大会で、創志学園の最速150キロ右腕・西純矢投手(2年)を攻略している。打撃マシンを13メートルほどの距離から打つなど、速球対策をしてきた強豪に、三塁すら踏ませなかった。

 スタンドではプロ12球団が視察。称賛の声が相次いだ。広島・苑田スカウト統括部長は「あまりこの時期には言わないんだけど、来年の1位候補だね。147、8キロを低目にコントロールできる。スライダーも手元でピュッと曲がるから通用するでしょう」と最大級の賛辞を送った。

 中日・中田アマスカウトディレクターも「見る度に良くなっている。今までは上半身が強かったけど、下半身の使い方が良くなっている。下半身の使い方を覚えて、制球が良くなってきた。当然(上位候補に)なるね」と今夏の甲子園から成長を感じ取った。

 阪神・筒井スカウトは開口一番、「一級品ですね」と話し、「フォームはシンプルで、理にかなっていて無駄がない」と続けた。評価したのは、投球だけではない。奥川は自チームが試合前のノック中、一塁ベンチに残って、前のめりになって見ていた。

 「本当に野球が好きなんだな、と感じたし、彼は普段からそういう野球に対する姿勢がいい」。投手なら登板前に集中したい時間に見せた精神的な余裕と、野球への熱意にまた評価を上げた。

 準決勝・高松商-八戸学院光星の勝者との対戦にも注目が集まるが、来年以降の進化も楽しみだ。宇ノ気小4から宇ノ気中、星稜と、バッテリーを組み続けている山瀬慎之助捕手(2年)は、奥川のすごさについて「成長が止まらない。ずっと成長している」と話す。

 同級生には大船渡・佐々木朗希、創志学園・西、横浜・及川雅貴投手ら逸材がそろうが、来春には奥川が世代をけん引する存在となっているかもしれない。(デイリースポーツ・西岡 誠)

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