【野球】ブレイシア飛躍の裏にカープでの投球確立 「ジョニーとコバヤシ」への感謝

 昨季は広島でプレーしたライアン・ブレイシア投手(31)が、レッドソックスの一員としてワールドシリーズで“奮投”している。広島では1軍に定着できず、わずか1年で退団した右腕だったが、レ軍ではセットアッパーとして不可欠な存在になった。出戻り右腕に何があったのか。米メディアも注目する投手の秘密に迫る。

  ◇  ◇

 ブレイシアが日本で職を失い、故郷のテキサスに戻ってきたのは昨年10月26日のことだ。「頭の中は仕事を見つけることでいっぱいでした」。しかし、現実は厳しく、美容師の妻が働きに出ている間、トレーニングをしながら7歳と3歳の子守りをする日々が続いた。

 年明けにメジャー10球団のスカウトを集めて投球を披露も連絡はなし。「こんなに長くかかるとは思わなかった…」。心が折れかけた2月26日、ようやくマイナー契約のオファーが届く。レッドソックスからだった。

 オープン戦では150キロ台後半の速球を連発。開幕メジャーはならなかったが、3Aで抑えとして34試合に登板し、防御率1・34。球宴に選出されるほどの活躍を見せた。

 7月初旬にメジャー昇格。実に5年ぶりのことだった。手渡されたユニホームを見て驚いた。カープ時代と同じ背番号『70』。「神のお告げなのか、ラッキーナンバーなのか。着けることに躊躇(ちゅうちょ)はなかったですよ」。広島での1軍登板はわずか26試合。2軍落ちを何度も経験したが、ブレイシアは「楽しかった。未知の世界を体験できた」とにこやかに話す。

 それもそのはず。そこで得たものは大きかったからだ。「ストライクを投げること、変化球を安定させること。投げて、投げて、投げて、メカニクスを確立できた。(1軍投手コーチの)ジョニー(畝龍実の愛称)とコバヤシ(幹英)の助けは大きかった」と感謝する。

 14年6月に受けた右肘靭帯再建手術も野球人生の転機になった。復帰までに要した時間は1年。一般的に力を発揮できるのは復帰から2年後からと言われている。今季の成績は34試合で2勝0敗、防御率1・60。直球の平均速度156キロは手術前のそれを4キロも上回る。

 ポストシーズンはリーグ優勝決定シリーズまでの全7試合で無失点。ワールドシリーズ第1戦で初失点を喫したが、「最も信頼できるリリーバー」に異論を唱える者はいない。

 1年前は無職。昨年のワールドシリーズは自宅のテレビで見たという。「僕がこうして皆さんからワールドシリーズの質問を受けるなんて想像できなかった。クレージーですよ」。そう言ってブレイシアが笑った。(デイリースポーツMLB担当・小林信行)

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