【野球】メジャー帰りのヤクルト・青木が体現した“攻撃型2番打者”の影響力

 ヤクルトがクライマックスシリーズ(CS)進出をほぼ確実にしている。球団ワーストの96敗を喫した昨季からのV字回復。要因は多々あるだろうが、個人的に大きいと感じるのが“最強の2番”の存在だ。メジャーから古巣復帰した青木宣親外野手が、シーズン途中から2番打者に定着。それからの成績は、チーム、本人ともにガラリと変わった。

 オープン戦は1番と4番で出場。開幕から4月19日の広島戦まで17試合で4番に座った。小川淳司監督が求めたのは「つなぎの4番」としての役割。その後はチーム39試合目まで、打順は1、5、3番と変遷した。その時点では、チームは15勝24敗で借金9の最下位。自身も打率・271、1本塁打、16打点という数字だった。

 初めて2番に入ったのは、5月24日の阪神戦だった。以降は2番では83試合に出場し、打率・349、8本塁打、48打点、出塁率・434。打率と出塁率は、2番打者としては12球団でも断トツだ。そして「2番・青木」でのチーム成績は51勝31敗1分け。貯金は20で、勝率・622に達する。劇的な良化であるのは一目瞭然だ。

 2番への打順変更はは、自身の希望でもあった。「監督に『何番がいい?』って聞かれて『2番ですかね』って。メンバーを見た時に、3、4番は(山田)哲人とココ(バレンティン)が打てばいいと思ったし、もう、1番じゃないなって(笑い)」。そう振り返った選択が、ドンピシャでフィットした。

 チームが求めた役割も明確だった。送りバントなどを重視する従来の2番像ではなく、積極的に打っていく攻撃型2番だ。もちろん、その役割がこなせるのも青木の打力があってこそ。1番・坂口、青木、3番・山田哲の上位トリオは全員が出塁率4割、打率3割1分を超える。打線の破壊力は格段に増した。

 2番に強打者を置くのは、メジャーのトレンドの一つ。ヤンキースのジャッジを筆頭に、エンゼルスのトラウト、アストロズのアルトゥーベら、そうそうたる面々も名を連ねることがある。長打力という点では少し意味合いが異なるとはいえ「今は重要な打順になってきているからね」と話すメジャー帰りの青木が、日本で超攻撃型2番として大暴れしているのは、不思議な符合を感じる。

 シーズン通しての打率・328はチームトップ、リーグ4位の成績だ。「前に日本にいた時ぐらい打てたらなと思っていた」という青写真を実現している。それでも、打撃が日本にアジャストできたのかといえば「まだできていない。タイミングの取り方だけは、意識していないとできないから。6年いて(米国式が)染みついちゃっている。無意識でできるようになれば、もっとパフォーマンスが上がる」というのだから恐ろしい。出場すれば、ヤクルトにとっては3年ぶりのポストシーズン。「2番・青木」のバットが、戦いに大きな影響を与えることだけは間違いない。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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