【スポーツ】ポスト山根体制へ産みの苦しみ 日本ボクシング連盟新体制発足

 助成金流用や山根明前会長の反社会的勢力との交遊などが問題となった日本ボクシング連盟は8日、都内で臨時総会と理事会を開催し、新体制が発足した。新会長に宮崎県連盟会長の内田貞信氏(45)が就任。副会長に同連盟の菊池浩吉氏、新潟県連の鶴木良夫氏、千葉県連の坂巻義男氏の3人、専務理事には新潟県連の仁多見史隆氏と山根氏を告発した「日本ボクシングを再興する会」が執行部を占め、山根体制は一掃された。

 産みの苦しみの船出となった。この日は臨時総会でまず新理事を決め、その後の理事会で新会長と執行部を決定する予定だった。委任を含めて全国47都道府県の代表者を集めたスケジュールは一日のみ。しかし、臨時総会開始から1時間半を経ても新理事選出へと議題は移らず、関係者には焦りが見え始めた。

 今春9人でスタートした「再興する会」は、最終的に300人を超える賛同者を得て山根氏を退任へと追いやった。しかし、この過程で旧体制側にも「再興する会」側にも軸足を置かず、状況を見守っていた会員も多かった。山根氏と旧執行部が全員退任を決めてからは、旧体制と「再興する会」が新体制への移行の準備を進めてきた。今回、新体制に選出された理事26人のうち7人は旧執行部から推薦されたメンバー。そこには「再興する会」のメンバーも重複している。双方の調整段階を関知していなかった“一般会員”からすれば、あまりに急展開だと感じるのも無理はなかった。新理事については一度地元連盟に持ち帰る時間がほしいという意見もあった。

 会議中の休憩時間に「再興する会」のあるメンバーは「山根さんの存在の大きさを感じますね」ともらした。前会長の独裁政権に「NO」を突きつけたが、長く経験していなかった自分たちが主体性を持つ難しさを再確認した様子だった。

 流れを変えたのは、「再興する会」の副会長で当初からこの活動の中心にいた宮崎県連の菊池浩吉氏だ。オブザーバーとして参加していた菊池氏は総会で発言を控えていたが、議論が進まない状況に「みなさんの考えは最もだが、とにかく時間がない。選手のためにもスピード感を今は優先しよう」という趣旨を訴えたという。その後の話し合いで少しずつ議論は進み、新執行部発足へとたどり着いた。

 新体制が発足したこの日で「再興する会」は解散を宣言した。菊池氏は「ある一定の使命は果たせたからか」と報道陣から問われて「その通りです」と応えた。大きな歯車を動かすには強い力が必要だ。しかし、歯車が大きければ大きいほど、回り出すと簡単には止まらない。2年後には東京五輪が待ち受ける。回り出した歯車をどうコントロールするか。新執行部には新たな使命が課せられている。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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