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【スポーツ】身長160センチで柔道全日本選手権へ 高藤直寿の無差別級挑戦

 重量級選手と乱取り練習を行う高藤直寿(左)
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 身長160センチの男が、巨漢の猛者たちに挑む。体重無差別で柔道日本一を争う全日本選手権が今年も29日に日本武道館で行われるが、100キロ以上の選手が大半を占める中、最軽量級の60キロ級から異例の挑戦をするのがリオデジャネイロ五輪銅メダリストで17年世界王者の高藤直寿(24)=パーク24=だ。

 内股や背負い投げのようなオーソドックスな技から、足技、さらには変型の肩車などのトリッキーな技も含め、多彩な投げ技で世界トップに登りつめた高藤の柔道がどこまで通用するのか。そしてこのタイミングでなぜ挑戦を決断したのだろうか。

 「全日本への憧れが小さい頃からとても強かった。五輪金メダルも夢だが、全日本の舞台で戦いたいという夢も大きい。チャンスはなかなかないので、出られる時に出たいという気持ちがあった」

 伏線はあった。調整のために出場した3月のチェコでの国際大会では、66キロ級に出場して優勝している。その際には「減量せずに臨めるし、1階級上の海外選手のパワーを体感したい」と説明していたが、その頃から重量級選手と実戦形式の乱取り稽古を行っていることを明かしている。今思えば、これも全日本挑戦への布石だったのだろう。今年は五輪中間年かつ、既に9月の世界選手権(バクー)の代表権を得ているため、挑戦するにはこれ以上ないタイミングとなった。

 小学生時代、井上康生と鈴木桂治による決勝戦を日本武道館で見た記憶が今でも強く残っているという。「会場の盛り上がり方、熱気を肌で感じて、とても印象的だった」。ただ、体格という壁もあってこれまでは実現しなかったが、世界王者になったことで出場権を獲得した。

 日本男子の井上康生監督に挑戦を直訴した際、ケガのリスクや日本代表としての責任もあることを念押しされたものの、止められはしなかったという。「止められていても仕方ないなと、立場を考えろと言われても仕方ないなと思っていた。でも『自己責任で出るならいいぞ』と言ってもらったので、そこは出ないといけないと思った。けが(のリスク)は考えていない」。

 重量級が相手でも、自身のスタイルを変えるつもりはない。「勝つためには自分の柔道をやり抜くことが一番。僕は軽量級、重量級関係なく、ただ相手の背中を畳に着ければいいと思っている。いつも通り、タイミングが合えば投げられると思う」。もちろん、体格やパワーという圧倒的な差はあるだけに「1つのミスがいつも以上に命取りになる。技の選択、受け方のミスチョイスをしないように。ひとつひとつの技を丁寧にいくことが勝つカギになる」と力を込めた。

 柔道は本来、体重無差別の格闘技だ。1990年大会では、当時71キロ級の古賀稔彦が準優勝して世間を沸かせた。現代はルールも変わり、小柄な柔道家が勝ち上がることはより難しくなっているが、色んなリスクを承知で挑戦する高藤への期待も大きい。「1つ1つ勝って奇跡を起こしていかないといけない。運も味方してくれるように準備を怠らないでやっていきたい」。全国の小柄な柔道少年に夢を与える。(デイリースポーツ・藤川資野)

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