【サッカー】世界に類のない過密日程の高校サッカー 10日間で6試合、改善策は…

 全国高校サッカー選手権大会は5日を終えて4強が決まった。今大会から1試合の交代枠が4人から5人に1人増えた。これを前橋育英・山田耕介監督は「ものすごく大きい」とし、「日程がキツイですからね。思い切って代えたい」と話していた。

 大会は年末の12月30日に開幕した。決勝の1月8日まで、その期間はわずか10日間。1回戦から出場するチームは決勝まで6試合を要し、ほとんどのチームは12月31日に1回戦、1月2、3日に2、3回戦、同5、6日に準々決勝、準決勝。中1日で決勝を戦う。

 休養日は元日、4日、7日の3日間。その間、2度の2日連戦をこなすことになる。ある指導者は。「こんな大会、世界にないですから」と2回戦を終えて漏らしていた。

 国際サッカー連盟(FIFA)の規定では、国際Aマッチ2試合を行う間に、48時間を空けなければならないという規定がある。試合中、常に走り続けるサッカーという競技の過酷さから、選手の健康管理を維持する意味で設けられた規定だ。この規定を考えれば、高校サッカーがいかに厳しい日程下で行われているかは言わずもがな、である。

 前橋育英は昨年の決勝で青森山田に敗れて準優勝に終わった。山田監督は「去年は(2回戦から出場した)青森山田は5試合目、僕らは6試合目だった」と言う。強行日程の中、1試合分の負担が大きかったことは、両者の間に明らかな差を生み出していたのも確かだった。

 5日の準々決勝では1回戦から出場した明秀日立が、2回戦から出場した上田西に敗れた。

 明秀日立・萬場努監督は「われわれは4試合目だった(上田西は3試合目)。勝ち抜いて分かったことは、昨日の練習から選手の動きが重かったこと、1戦1戦やる中でメンタル的にもくること。想像を超えて厳しかった」と振り返った。

 1試合分多い心身の疲労度が試合を重ねる度にプレーに表れるのかもしれない。今大会で4強進出を果たした4校とも2回戦からの出場。これは偶然ではないかもしれない。

 やはり2回戦からの出場の恩恵を受けた前橋育英は2回戦で5人、準々決勝では4人を交代させて、疲労を緩和させながら勝ち進んだ。もちろんそれなりの選手層を築く必要性もある。山田監督は大会終盤戦を「去年は思った以上に動けなかった」と振り返る。その課題を生かして、勝ち進んできた。

 「せめて準々決勝が終わってから、1週間くらい明けてくれたら」と本音ももらす。正月の風物詩、高校サッカー選手権は“世界にない”過密日程との戦いでもある。同条件での高校生同士の戦いをさせてあげたいし、そうあるべきではないだろうか。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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