【スポーツ】世界女王ですら勝てない?柔道ニッポン女子のレベルの高さ

きょうだい優勝を果たし、そろって笑顔を見せる兄の阿部一二三(右)と妹の詩
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 2020年東京五輪に向けて、柔道ニッポン女子が黄金時代の到来を迎えつつある。

 2、3日に東京体育館で行われた国際大会のグランドスラム東京大会(GS東京)で、日本女子は全7階級を制覇。09年大会以来の金メダル独占という快挙であると同時に、今夏の世界女王3人が誰も優勝できないというハイレベルな戦いとなった。

 今年新たに決まった規定で、世界選手権の金メダリストは同年のGS東京も優勝すれば、その時点で翌年の世界選手権代表に内定する。今年は、世界選手権で優勝した48キロ級の渡名喜風南(帝京大)、52キロ級の志々目愛(了徳寺学園職)、70キロ級の新井千鶴(三井住友海上)の3選手が対象だったが、3人とも日本選手に敗れ、今大会で内定を決めることはできなかった。

 優勝候補筆頭の敗退を「波乱」ということもできる。しかし、日本女子の増地克之監督(47)は「3人とも外国人選手に負けたわけではない。逆に言えば、それだけ日本の選手層が厚くなったとも言える」と歓迎ムードだ。

 特に目を見張る激戦区は52キロ級だ。世界選手権金メダルの志々目、銀メダルの角田夏実(了徳寺学園職)が顔をそろえた中で、頂点に立ったのは高校2年の阿部詩(兵庫・夙川学院高)だった。男子66キロ級世界王者の阿部一二三(日体大)を兄に持つ17歳の逸材は、準々決勝で世界女王の志々目から技有りを奪って撃破。決勝も一本勝ちしてみせ、同階級の台風の目となりつつある。

 また、48キロ級はリオデジャネイロ五輪銅メダリストの近藤亜美(三井住友海上)が復権を予感させる優勝を果たし、70キロ級はベテランの大野陽子(コマツ)が「新井一強時代」に待ったを掛けた。国内大会や強化合宿で互いの手の内を知り尽くしている上に、世界女王は人一倍研究される。金メダリストでさえ簡単に勝てないほどレベルの高い競争が、3年後の五輪に向けた強みになる。

 来年からは技有り二つによる「合わせ技一本」が復活するなど、また新たにルールが変更される。立ち技、寝技の連携強化に力を入れてきた増地監督は「基本的にやることは変わらない」としつつ、指導が入るタイミングが早まることも懸念されるだけに「仕掛けの早さや、組み際の対策をしないといけない」と新たに課題を挙げた。

 まずは来夏の代表争いに向けて、年明けからの国際大会、4月の国内選考大会と続いていく。選手にとっては厳しい戦いとなるが、この緊張感が、誰が畳に上がっても金メダルを狙える状況を生んでいる。(デイリースポーツ・藤川資野)

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