【野球】3連覇狙うカープに育成からはい上がった5年目右腕
リーグ3連覇を狙う広島に、楽しみなパワーピッチャーが出現した。秋季キャンプでアピールに成功した辻空投手だ。直球のキレや球質を重視する投手が多いプロ野球界にあって、辻は「みんなスピードではないと言いますが、僕はスピードがないとダメ。もっと速い球を投げたい」と自分のスタイルを口にする。
秋季キャンプでは、最速154キロの剛球でアピール。11月19日のシート打撃では1回を無安打1四球無失点と好投し、「(状態が)良くない中で抑えることが課題だったので良かった」と手応えを口にした。一方、最速149キロにとどまった直球には不満げで、「もっと速い球を投げてアピールしたかった。最低150キロを投げて目立ちたかった」と悔しさをにじませた。
23歳にして、危機感たっぷりだ。岐阜城北高から12年度育成ドラフト1位で入団。14年に四国アイランドリーグplusへ派遣され経験を積むと、15年11月には念願の支配下登録を勝ち取った。16年は1軍登板なし。オフには非常な通告さえ、頭をよぎったという。
「昨年、支配下にしてもらったのに、2年結果が出なかった。今年が最後だと思った」
今季をラストチャンスと位置づけ、覚悟を持って臨んだ。ウエートトレーニングで筋力アップに励み、今年だけで体重10キロ増。入団時から28キロ増え、現在は95キロある。どっしりした下半身に支えられ、球速はアップ、制球も安定した。プロ5年目の今季はウエスタン・リーグで17試合に登板し、1勝0敗3セーブ、防御率2・39。1軍昇格候補に名前が挙がったこともある。スライダー、スプリット、カーブ。変化球の精度にも自信を深め、「(1軍が)身近になってきた。に呼ばれても抑えられる自信がついてきた」と手応えを口にする。
秋季キャンプでは高ヘッドコーチから「いい直球を投げていた」と、“投手MVP”に挙げられた。辻は「アピールしたいところはできた。オフが大事」と力を込める。来春の1軍キャンプ参加は決定的。オフもスケールアップを果たし、キャンプ初日から全力投球できる準備を整える。(デイリースポーツ・杉原史恭)




