【野球】広陵4度目の準Vも中井監督「堂々としておけよ」今後もスタイルは変えず

 第99回全国校野球選手権決勝で、広陵が花咲徳栄に敗れて優勝を逃した。中井哲之監督(55)にとっては07年以来2度目、広陵にとっては4度目となる挑戦でも、頂点に登りきれなかった。

 2失策や記録に表れないミスで14失点。今大会はスキのない野球で勝ち上がってきたが、実力を発揮できないまま敗れた。

 それでも今大会も広陵らしい全員野球で勝ち上がった。同校野球部のスローガンは「一人一役全員主役」。決勝だけでも、中井監督のポリシーを感じさせるシーンが何度もあった。

 試合前には選手にこんな声をかけた。「最高のグラウンドは甲子園じゃなくて、広陵のグラウンド。広陵でやってきたことを出し切ろう」。大一番を前にして緊張感を漂わせる選手に、部員142人で汗を流した日々を思い出させた。

 先発には今大会は不調だった平元銀次郎投手(3年)を起用。安定していた背番号10の山本雅也投手(3年)を先発させる選択肢もあったが、「最後はエースにかけました。広陵のエースですから。(平元)銀次郎と(中村)奨成が切磋琢磨(せっさたくま)してやってきたんで」。ここまでチームを引っ張ってきた男の意地にかけて、マウンドへ送り出した。

 また、敗戦後にアルプススタンドへあいさつに行く前には、選手を呼び止めた。「堂々としておけよ。泣き崩れるとか、みっともないことはするなよ」。ベンチに入れなくても、スタンドで一緒に戦ってきた選手たちへの配慮だった。

 試合後には優勝に届かず、悔しい思いを吐露した。「残念です。監督の責任ですね。こんな点差で負けたことがないし、こんなにミスが出たこともなかったので…。ミス1つ、流れ1つでこうなるのかな、と思いましたね。広陵、もっと頑張れということだと思います」。悔しさを押し殺し、表情を変えることなく淡々と振り返った。

 ただ、これからもスタイルを変えるつもりはない。「子供を育てる、人間を育てるということは誰にも負けませんので。でも、その自信だけじゃ勝てないんですけどね」。選手にあだ名をつけるユニークさを持ちつつ、人として間違ったことは絶対に許さない厳しさも持つ。これからもチーム一丸の“中井野球”で、頂点を目指していく。(デイリースポーツ・西岡 誠)

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