【野球】ロッテの大物ルーキー佐々木の不調の原因は…

 ロッテ大物ルーキー・佐々木千隼投手(桜美林大)がプロの壁に当たり、突破しようともがいている。

 今季、開幕からローテーションを守り、9試合に先発して2勝6敗の成績。33失点で防御率は5・98だ。被本塁打は7本だ。

 交流戦最後となった6月18日の巨人戦(東京ドーム)。4回を投げて被安打4で3失点、左の阿部に2本の本塁打を喫している。

 この日の佐々木の投球を見たデイリースポーツ評論家の関本四十四氏は驚きを隠さなかった。

 「すっかりサイドスローになっている。大学時代の佐々木を知る関係者たちもテレビで見てオオッと思ったのではないか」。

 関本氏は大学時代の佐々木をネット裏から見続けてきた。

 「(大学時代は)打者を見下ろして投げていた」と振り返る。

 スライダー系でカウントを稼ぎ、最後はスピードと切れのある高め速球を決め球にしていた。「浮き上がる感じで、高めのストライクゾーンに行くと打者はほとんど空振りしていた」

 佐々木と言えば、スリークオーター投法だった。投げ込む速球は角度があり速かった。

 腕を垂直に上げると、時計で言えば12時。学生時代はヒジの高さが2時~3時の間にあったが、いまは3時になっている。

 まさしくサイドスローだ。

 佐々木は4月6日の日本ハム戦でプロ初勝利を挙げた。「うれしいけど満足のいく投球ではなかった。これからも練習しなくては」と反省していた。

 キャンプ中、捕手の田村がこう話したことがある。「(佐々木は)マイナス発言が多い。意外とチキンです」

 これは田村独特の言い回しで、佐々木は理想を追い求めては考え込むタイプなのだ。うまくいかないと、どうしてもネガティブな発言になる。

 プロ入り後は納得のいく投球フォームに取り組んできた。

 2勝目をマークしたのは5月25日のソフトバンク戦。実に50日近くかかった。その間もブルペンで自ら投球フォームにチェックを入れ続けた。それはいまも進行中だ。

 4日の広島戦に登板した佐々木を見た、やはりデイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏はこう話していた。

 「見ているとオーバースローだったり、時に腕を下げて投げていた。これが意識してやっていることならいいが、そうでなければ不自然だ…」。安仁屋氏も現役時代はスリークオーターである。

 関本氏はサイドへの変身をこう分析する。

 「試行錯誤の結果、1軍で通用するためには変化球を左右に曲げようと考えたのではないか」。スリークオーターよりも変化が大きい。

 だが、弊害もある。右打者への制球が甘くなり、左打者への内角真っすぐはシュート回転して入る。制球ミスは命取りになる。巨人戦で阿部に打たれた2本塁打はその典型だ。被本塁打「7」もうなずける。

 関本氏は、「その分、ストレートの切れや威力がなくなる。(いい時の)10%は落ちているのでは」と見た。本来の佐々木の武器が姿を消しているのだ。

 だが、「本来いい球を持っているし、バランスのいい投球フォーム、球離れの良さ。投手としてのセンスがある」(関本氏)、「将来が楽しみな投手だ」(安仁屋氏)と評価は高い。

 若いうちの苦しみは将来の財産だ。試行錯誤を繰り返して得るものは必ずある。マウンドで胸をグィッと張る佐々木が見たい。

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