【野球】四国IL香川の気象予報士左腕・三木田がつかんだ収穫と課題

 野球の独立リーグ・四国アイランドリーグplusは4、5月の前期リーグ戦を終え、現在2カ月間の中断期間に入っている。振り返れば開幕前、異色の経歴で注目を集めた新人投手がいた。北海道大学医学部保健学科で学び、作業療法士と気象予報士の資格を持つ香川オリーブガイナーズの三木田龍元投手(23)だ。

 NPB入りを夢見る秀才左腕のデビューシーズンはどんな内容だったのか。調べてみると、登板19試合で25回2/3を投げ、0勝4敗2Sで防御率3・51。開幕2戦目の徳島戦で先発登板し、8安打7失点で5回途中KO。次戦からリリーフに回されたものの中継ぎで好投を見せ、シーズン途中から抑えも任されるようになった。

 山あり谷ありの2カ月間を振り返り、三木田は言う。

 「今までの野球人生で、こんなに1球の重みを感じたことはなかった。チームを背負っているプレッシャーの中で、どうすればいいピッチングができるか。正直、最初は先発をやりたかったけど、先発とはまた違う、すごく貴重な経験ができたと思います」

 前期34試合のうち、半分を超える19試合の登板試合数は、香川の投手陣の中で断トツに多い。その分、肉体的にも精神的にも疲労は想像以上だった。北海道の実家を離れ、生まれて初めての独り暮らし。自身の健康や経済面を考えて毎日の食事は自炊が基本だったが、入団前に80キロだった体重はシーズン中に71キロまで激減した。NPBを目指し、厳しい環境の中で若手選手がしのぎを削る独立リーグ。その過酷さを痛感しながら、三木田はリリーフのマウンドで経験を積んだ。

 前期の投球内容にある程度の手応えは感じた一方で「今の自分の力では、NPBは思っていたより全然遠いなと感じた」とも言う。

 直球のスピードはMAX141キロ。球の出どころが見えにくいフォームのため球速以上に速く見えるが、それでもパワー不足は否めない。変化球はスライダー、カットボール、フォークの3種類で、投球の幅にも限界を感じた。「直球は145キロまで上げたい。変化球もあと1種類、シュート系の球が必要だと思います」。西田真二監督(元広島)も「ウイニングショットがあれば、もうワンランク上に行ける」と指摘するように、成長の余地はまだまだ残っている。

 その課題をしっかりと胸に刻み、三木田は地道にトレーニングを積み重ねている。後期開幕は7月29日。「NPBに行くには、アイランドリーグで圧倒的な結果を出さないと。後期も最終戦までフル回転で投げることが最低限の目標です」。合格していた北大大学院進学や就職の道を捨てて飛び込んだ独立リーグ。次々に浮かび上がる難題に一つずつ正解を出しながら、秀才左腕は夢を追いかける。(デイリースポーツ・浜村博文)

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