【スポーツ】石橋改め朝乃山 富山の人間山脈が関取で第二の故郷に凱旋

 「山」1文字に22歳の思いを詰め込み、大阪に帰って来る男がいる。大相撲春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)で新十両に昇進した石橋改め朝乃山(高砂)。近大相撲部から昨年春場所でデビューして1年。初場所(1月22日千秋楽)、7戦全勝で幕下優勝を飾り、“第二の故郷”へ関取として凱旋する。

 高砂部屋力士は元大関朝潮の高砂親方譲りで、しこ名に「朝」が付くのが通例。「朝乃山英樹」には地元富山への愛が盛り込まれていた。

 同県出身力士では、97年に元関脇琴ケ梅が引退して以来、20年ぶりの関取になる。持ち味は189センチ、160キロの恵まれた体格を生かし、右四つ、左上手のスケールの大きい相撲。県人誇りのアルプス「立山連峰」から、愛称は「富山の人間山脈」。「山」はまさにイメージにピッタリだ。さらに富山出身横綱と言えば太刀山。1918年に引退後、来年が100年となる節目で、偉大な先人にあやかった。

 最後に一番込めたのは富山商相撲部時代の恩師で1月21日に40歳で急逝した浦山英樹先生への思いだった。

 初場所で幕下優勝を決めた日に恩師は亡くなった。「浦山先生は決して褒める先生じゃなかった」。思い浮かぶのは厳しい稽古ばかり。しかし、先生のおかげで今があるが関取として一人立ちした、その日に天国へ旅だったのは運命だった。

 葬儀告別式が同23日にあり、富山に帰郷した際、先輩、友人らと相談して、しこ名を決めた。本名は石橋広暉ながら、名前まで浦山先生から拝借し「英樹」に変えた。「いろんな思いを背負う力士になりたい。20年ぶりに富山に新十両を見せられた。期待に応えたい。稽古に励みたい」と、故郷を背負う。

 右四つと言えば、横綱白鵬(31)=宮城野=が代表格だけに、日々、見ては研究する。「浦山先生の教えが『真似できなかったら盗め』だった」と、師の教えは常に胸にある。 名門・高砂部屋は初場所で139年続いた関取が途絶えたが、1場所で復活した。会見に同席した師匠の高砂親方は「私の代で途絶えたのは残念だけど、『新しい歴史を作ろう』と言って来た。石橋が歴史の1ページを開いてくれた」とまな弟子をたたえた。

 目標はでっかく「横綱」。“山盛り”の期待を力に朝乃山は頂上を目指す。(デイリースポーツ・荒木 司)

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