【野球】日本ハム・大谷“究極のエース”へ越えなければならない壁は…

 投打の活躍で日本一に貢献した日本シリーズ、そして侍ジャパンの強化試合を終え、日本ハム・大谷翔平投手の2016年のシーズンを終えた。

 総括すると、打者としては昨季の打率・202、5本塁打から今季は打率・322、22本塁打と文句なしで昨年を上回る好成績を残した。投手としても昨季の15勝から今季は右手マメの影響で10勝と勝ち星を落としたが、野手出場との兼ね合いもあり、及第点を付けられるだろう。

 投打で大躍進した今季、来季について栗山監督が期待することは「勝ち星はゼロ対ゼロでいったら、付かないけど、点を与えなければ負けは付かない。1敗もしない投手だったらエースだ」と究極の目標へ背中を押す。

 ヤンキース・田中将大が楽天時代に24勝0敗を成し遂げたが、24勝は別として、今年の内容ならば、0敗は可能性があるんじゃないかと期待を抱かせる。来季、田中将大のような無敗投手になるには…。ただし、そのためには越えなければいけない壁があった。

 今季は10勝4敗。交流戦では3戦3勝とセの打線を封じ込めた。昨季1勝2敗、防御率6・58と苦手としていたソフトバンクにも4試合に登板し2勝0敗、防御率1・26と完勝。4敗のうち楽天とロッテに1敗。勝ち星で唯一、負け越している球団があった。西武だ。今季の記憶に新しいのが優勝マジック1で迎えた9月28日。対西武は優勝を決めた1安打完封の1勝だけ。防御率は3・43と決して、悪い数字ではないが、12球団ワーストでもあった。

 12球団で最も大谷を苦しめた球団が数字上は西武だったと証明する面白いデータがある。1イニング当たり、投じた球数は西武に対しては17・9球と最も多かった。球数を多く投げさせられた。ちなみにソフトバンクは4度対戦し、1回当たりの球数は15・8球。西武と2・1球の差がある。交流戦で対戦した阪神は13・7球と、簡単に料理したことが分かる。

 5月の対戦で2敗した西武戦。当時は状態がよくなかったが、8、15日とも直球主体の投球で打ち込まれた。15日の試合は直球が90球に対し、スライダーはわずか5球で、6回5失点で黒星。力勝負を挑んだことが裏目に出た。ちなみに優勝を決めた9月28日の西武戦は本人も「これまでとは違い、スライダーを多めに使った。スライダーを嫌がっていた」と言うように、直球53球に対し、スライダーは62球。これまでの経験を逆手にとった投球が功を奏しての勝利だ。

 秋山、中村、栗山、浅村、メヒアといった強打者が並び、力勝負に強い西武打線をどう封じるかが来季の無敗の鍵を握る。ちなみに、楽天時代の田中は10勝を挙げた12年は、対西武防御率は6・19と他球団の成績より極端に悪かったが、翌年は防御率0・56と完璧に封じ込め、苦手チームを克服したことで0敗につなげた。

 来季、大谷が田中に次ぐ、プロ野球史上2人目の「無敗の最多勝投手」に輝くにはレオ打線封じが鍵となりそうだ。(デイリースポーツ・水足丈夫)=データ提供、スタッツ・ジャパン=

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