【競馬】海外馬券を真の“キラーコンテンツ”にするには

 今年の秋競馬も折り返し地点を迎えた。一番のトピックは何と言っても“大成功”と断言できるレベルの売上をマークした海外馬券だろう。

 初売りとなった凱旋門賞では、JRAが想定した数字を倍額以上も上回る約41億円。即PAT会員のみ、平日の昼間という厳しい状況下のメルボルンCで7億円弱、早朝発走のBCフィリー&メアターフでは約8億円。凱旋門賞に比べて情報量が圧倒的に少なかったこの2レースでたたき出した数字には正直、驚きを隠せない。

 近年でこれほど強力なコンテンツはなかったと思えるだけに、JRAとしてはホクホク顔に違いない。ただ、どんなことでも新鮮味が薄れれば興味は遠のいていくもの。進化することなく、あぐらをかいていれば飽きられる恐れはある。思い出されるのはWIN5。11年4月に発売を開始し、マスコミもこぞってコーナーを設けた。同年は安定して10億円前後の売上をマーク。キャリーオーバーが発生した際には、30億近い売上となったこともある。開始から5年。年々数字は右肩下がりとなり、時に5億円を割る日すら出てくるとは、ピーク時に想像できなかっただろう。マスコミの扱いが縮小され、また的中の難しさも手伝ってファン離れを起こしたと推測される。

 メルボルンCやBCフィリー&メアターフは、明らかに凱旋門賞と比べて各メディアの扱いが下がった。せっかくのコンテンツを無駄にしないよう、JRAとマスコミはタッグを組んで、ファンにできる限りの情報を提供すべきだろう。知らない馬ばかりを買うギャンブルとなっては、分析や研究好きの日本人に好まれない。あらゆる手段を使いながらコメントを集め、血統等にもアプローチするなど、目指す頂は中央競馬のレースと同等レベルの情報量。現実的には非常に難しい作業だが、関係者各人がそうした向上心を持つことこそ、本物のキラーコンテンツを手にするための第一歩である。(デイリースポーツ・豊島俊介)

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