【競馬】ジャパンCで外国馬の不振が続く訳とは…

 ジャパンC(11月27日・東京競馬場)の予備登録を行った外国馬が18日、JRAから発表された。今年は5カ国から28頭が登録。この中から招待を受諾した馬数頭が11月中旬に来日する。

 近年のジャパンCにおける外国馬の成績はさんさんたるものだ。

06年2頭 最高3着

07年4頭  〃7着

08年4頭  〃9着

09年5頭  〃4着

10年8頭  〃9着

11年4頭  〃6着

12年5頭  〃8着

13年3頭  〃5着

14年3頭  〃6着

15年4頭  〃6着

 勝利は05年英国馬アルカセットが最後。06年英国馬ウィジャボード3着を最後にここ9年間は馬券に絡むどころか、掲示板確保(5着)がやっとという状況である。

 ジャパンCがなぜこうなってしまったのかといった類いの議論も噴出。そこで語られている大まかな原因が(1)日本馬の顕著なレベルアップによる敬遠(2)3週前に米ブリーダーズC諸競走が、2週後に香港国際競走が行われるという開催時期の問題(3)日本の硬い高速馬場への敬遠(4)厳しい日本の検疫の問題などなど。

 確かに(3)(4)のリスクを冒してまで、ホームでなかなか負かすことができない日本馬と戦うよりは、1、2日間に一気にG1が複数レース行われる米BCや香港に複数の馬で参戦した方が…と欧州勢が考えるのは自然な流れということである。

 ただし、一流馬が来日していないというのは間違い。11年には凱旋門賞で5馬身差のレコードVを決めたデインドリーム(6着)、その2着だったシャレータ(7着)が、翌12年も凱旋門賞でオルフェーヴルをゴール寸前で差し切ったソレミア(13着)も参戦している。

 当時現場で直接、外国馬取材に当たっていた者としての率直な意見としては結局、問題は来日馬の質というよりも“本気度”ではないだろうか。

 外国馬の“最後の勝利”となった05年は、東京競馬場で外国馬取材を担当したデイリースポーツの記者はみんな勝ったアルカセット(3番人気)を本命に推し、予想も馬券もビシッと決めていた。参戦までの経緯や来日後の調整過程、さらに鞍上のデットーリが金曜午後に東京競馬場の芝コースを下見がてらにランニングをしていた…などなど本気度が随所にうかがえたことを思い出す。

 一方で前記のデインドリームに関しては、来日後の馬体は冬毛が目立ち、凱旋門賞圧勝の反動も見え隠れ(当時の取材ノート、デイリースポーツ紙面より)、社台の吉田照哉氏が馬主権利を半分購入していた(この手の話はジャパンC外国馬のいらないあるある)、と本当に勝ちに来ていたのか(あるいはその状態にあったのか)、という点では疑問が残る状況だった。

 あくまでも輸送費などもJRAが出す“招待馬”。近年ではいかにも物見遊山での来日を感じさせる関係者の行動が目につくケースも多いと聞く。アルカセットなどのようにジャパンCを勝ちに来たという馬が減ったのは、魅力のないレースということなのだろう。

 今年は海外競馬の馬券が発売されるという日本の競馬界にとっては大きな出来事があった。何とも言えない高揚感を覚えた80、90年代のあの熱かったジャパンCを一朝一夕で取り戻すのは難しいが、競馬ファンの一人としては一頭でも多くの外国馬に来日してほしい。

 新人競馬記者が“馬券を買って覚えろ”と先輩に必ず言われるように、一度馬券購入で検討した馬というのは、当たっても外れても忘れないもの。これからはジャパンCで馬券を検討した外国馬が、暮れの香港や来年の海外馬券発売レースに出走してくるというケースもどんどん増えていくだろう。

 そういう意味でも、登録している凱旋門賞出走馬4頭(1着ファウンド、2着ハイランドリール、7着ニューベイ、9着ハーザンド)を含め、今年の来日馬のラインアップには例年以上の注目が集まる。(デイリースポーツ・和田剛)

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