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NMB研究生“物語”の結晶に見た原点

 グループ初の“下剋上”と言うべきか。8月15、16日に行われたNMB48の「リクエストアワー セットリストベスト100」で、研究生による楽曲「想像の詩人」が1位に輝いた。ファン投票によって順位が決まるこのイベントは、これまで国内グループではAKB48が08年から、SKE48が10年から、NMB48が13年から開催しているが、研究生の楽曲が1位になったのは今回が初めてだ。

 1位が発表された直後のステージには、オリジナルメンバーの12人が登場。今年6月にグループを卒業した照井穂乃佳(16)の姿もあった。松村芽久未(20)は、早くも涙で顔をくしゃくしゃにして「投票して下さったみなさん、本当にありがとうございます」とあいさつ。照井も「まさか12人で、こんな大きなところに立てるなんて」と感激を表した。

 「研究生制度」は各グループに存在するが、NMBは1期生から4期生まで、正規オーディション合格者は全員、最初は研究生からスタートした。11年3月にチームN、12年1月にチームM、同10月にチームB2が結成され、そのたびに研究生から数人がチームメンバーに昇格した。その後もさまざまなタイミングでチームに昇格するメンバーが、、また研究生のまま卒業するメンバーが出る中、“取り残された”形になっていたのが、「想像の詩人」を与えられた12人だった。

 結果として同期に差をつけられ、後輩に追い抜かれ…。12人が抱えていた屈辱感は、想像に難くない。実際、ステージで代表してあいさつした現チームNの山尾梨奈(19)は、チーム昇格後にデイリースポーツの取材を受けた際、過去に後輩のドラフト1期生が研究生を経験せずチームメンバーとなったことについて「『鉄砲隊』があった当時は、研究生も選ばれたらMVに出られたんですけど、ドラフト生が入ってきたころから(シングルのカップリングが)チームの楽曲になって、MVにも出られなくなって…。あと、ドラフト生はチームメンバーだから自分の衣装を持ってたりとかで、悔しいなってすごい思いました」と答えた。

 だが山尾は、こうも続けた。「でも、研究生は研究生で、すごい恵まれた環境で活動できてたんで、昇格できないのは自分たちの問題なんだって認識しました。だから、昇格を目指すために頑張るパワーをもらった気もするんです」。以前、研究生のまま卒業した中には「努力は必ず報われるとは思ってません」と吐露したメンバーもいたが、12人は下を向くことなく、必死に前を向いて歩みを止めなかった。

 その結果として与えられたのが、14年7月、神戸国際会館で行われた、研究生による単独コンサート。「想像の詩人」が、初めて披露された舞台だった。リクエストアワーで山尾が「たくさんつらいこともあったんですけど、この曲と乗り越えて来ました」と話したように、この経験が研究生たちを後押ししたことは間違いないだろう。そして7カ月後の今年2月、大阪城ホールで行われたコンサートで、12人全員がチーム昇格をつかみ取った。

 それから半年、すでに各チームで活躍していた12人が再び手にした“頂点”という結果。努力は、はっきりと報われた。大阪のグループだけに「浪花節」の一種という見方もあるかもしれない。だが関係者によると、スタッフの中にも同曲の1位獲得を予想していた人間は多かったという。1年前に起こしたムーブメントが、形になっていたということだろう。

 照井がすでに卒業していることもあり、12人がステージ上で一堂に会する機会は、恐らく二度とない。だからこそ、放った輝きは鮮烈だった。会場を埋めた5000人のファンが送った拍手と歓声、そしてキャプテン・山本彩(22)をはじめ、1位を争ったライバルでもあるメンバーたちが、ステージ後方で流した感涙は、その証だったはずだ。

 「48グループは今後、どうなっていくのか…」というファンの意見は散見される。「次世代」という名で、一種の新陳代謝が求められているのも事実だろう。そこで歴史を振り返ると、原点としてほぼ間違いなく登場するのが、「観客わずか7人だった初日公演」という記述だ。AKBが熾烈なアイドル戦国時代で“1人勝ち”を成し遂げた理由は、各メンバーがこうした「物語」を持ち、大人数の物語を、秋元康氏(57)を中心とした“腕利き”たちが1つの大きな形として紡ぎあげたことにあったのではないだろうか。

 その意味で今回、NMBの元研究生が成し遂げた快挙は、12人が紡いだ物語の結晶と言えるだろう。今後、48グループが歩んでいく道程の、1つの方向性として、確かに刻まれたように感じた。(デイリースポーツ・福島大輔)

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