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「消極的賛成」多いタイブレーク制導入

 春夏の甲子園へのタイブレーク制導入が本格的に議論され始めた。日本高野連が9月末、全加盟校を対象に実施したアンケート結果を公表。条件付きを含めると、49・7%の1964校が「賛成」という結果が出た。

 これをふまえて先日、取材で訪れた秋季高校野球愛媛大会で監督や関係者に意見を聞いてみた。

 甲子園の常連・今治西の大野康哉監督は「積極的に賛成ではないが、選手の健康面を考えれば何か対策が必要な時代になっている」と語る。

 投手の肩や肘の負担を考慮し、タイブレーク以外にも「球数制限」や「投球回数制限」などの方法が検討されている。同監督は「球数制限や投球回数制限だと複数の投手が必要になり、部員が多い私立校が有利。ギリギリの部員数で戦っているような公立校との公平性を考えれば、タイブレークがもっとも現実的」と指摘した。

 愛媛では今年8月、新チーム発足直後に3地区(東予、中予、南予)に分けて行われる「新人大会」で、タイブレークを試験的に導入した。9回で決着がつかなかった場合、延長十回から1死満塁の場面でスタートするというやり方だ。

 今年の新人大会は接戦が多く、3地区合わせ計8試合で延長タイブレークに突入した。そのうち6試合が十回で決着。残りの2試合も十一回で終わったというから、早期決着を図るには非常に効果的な方法だということが改めて実証された形だ。

 同大会の2回戦・松山北戦でタイブレークを戦った新田・岡田茂雄監督も「消極的賛成」だ。試合には勝ったものの「野球の楽しさが失われるような気がした」と話す。そして多くの指導者と同様に「延長戦があるからこそ数々の名勝負が生まれた」という意見を否定しない。しかし選手の健康面を考え、「(導入も)やむなしですね」と複雑な表情を見せる。

 ある県高野連関係者は「実際にやってみて、タイブレークに違和感を感じている指導者は少なくない」と話した。他の都道府県でも「積極的賛成」はそれほど多くはないだろう。

 愛媛といえば、1969年夏の甲子園決勝・松山商-三沢(青森)の延長18回引き分け再試合が思い浮かぶ。高校野球の長い歴史の中でも屈指の名勝負で、45年がたった今でもその激闘のドラマに対するファンや関係者の思い入れは強い。

 一方で、昨春センバツで準優勝した同県代表の済美・安楽智大投手が初戦から5試合で772球を投げ、議論を呼んだ。そのあと安楽が右肘を故障したこともあり、「球数制限」などの必要性が叫ばれ始めた。

 「名勝負」にこだわれば選手の健康が損なわれ、「早期決着」にこだわれば高校野球の魅力が半減する。アンケートでは、タイブレークを開始するイニングについての質問もあり、「延長13回」という意見が最も多かったという。導入するとすれば、そのあたりが妥当か。

 いずれにしても、まだまだ「消極的賛成」が多いのが現状で、49・7%の数字だけで一気にタイブレーク導入へ舵を切るのは早すぎる。ファンの願いもくみ取りながら、じっくりと議論を進めてほしい。

(デイリースポーツ・浜村博文)

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